シンデレラに玻璃の星冠をⅢ
「オレも見くびるなよ? オレに出来るのは、飛んで引っ掻くだけじゃないぞ?」
白いふさふさネコの連続パンチ、キック、噛み付き攻撃。
尻尾で目潰しまでしてくる。
更には口に咥えた…果物ナイフで切りつけてきて。
包丁を咥えた猫も居る。
ありえない。
刃物を口に咥えて飛んでくる、こんな物騒過ぎる白猫は。
それでも…動きは斜め一辺倒。
リスの胡桃の動きは直線なのは変わらない。
惑わされるな。
「おお、皆フルパワーだね!!!」
うつ伏せになった煌の背中を、氷皇が真上から踏みつけた。
時折仰け反る煌の体。
そんな煌に、集中的に胡桃が飛んでくる。
刀で弾けば防御になるのなら、その胡桃で攻撃を仕掛ければいい。
「煌、氷皇の足を固めてくれ!!」
「へ?」
剣を振り回し…全ての胡桃を氷皇めがけて投げ返す。
これは…攻撃だ。
顕現させる俺の想像力が弱ければ、途端に鉄の胡桃の衝撃に折れるか消えるかするだろう。
手がびりびりする程の衝撃を感じながら、俺は心に…より固い剣の形を思い描く。
煌のレベルならば、わざわざこんなことをしなくても硬度は保てるだろうけれど、情けないことに…俺はそこまでの顕現レベルには達していないから。
想像力で苦しめられたのだから、その想像力を利用しろ。
想念を形に。
想念に強さを!!
リスが両手で投げる胡桃を、俺は剣で氷皇に向けた軌道に変える。
何度も、何度も!!!
「う…。やるね…カイクン…」
その1つを体に受けた氷皇が、舌打ちしながら言う。
避けられるわけない、煌が必死に足を固めているのだから。
柔道で言えば寝技のように足を固めた様は、明らかに攻撃姿勢で。
それを避けきれず、煌の攻撃技に呑まれた氷皇は、何とか煌へ攻撃に転じて逃れようとしているが…そこを俺が胡桃で細かく迎え撃てば、避けることしか出来ぬ氷皇は、煌を後回しにして緊急避難めいて胡桃を回避するしか術がなく。
避けることしか出来ない現況を利用するんだ。