シンデレラに玻璃の星冠をⅢ
氷皇は――
下手に大きすぎる矜持がある為、
禁を犯してまで防御の形はとるまい。
弾くことも許されない。
だとしたら――
それが恐らく…
この氷皇の弱点だ。
己の強さに、溺れることなかれ。
初心を、忘れるるべからず。
自慢の足は…煌が小振りに変えた偃月刀で切りつけている。
この状態で、思うように足が使えず、氷皇からは苛立った様子が見て取れる。
このゲームの勝利条件は、氷皇をねじ伏せることではない。
得点を200点に達すればいいんだ。
傍目では、俺達の闘い方は格好悪いかも知れない。
しかし、最短で突き進むには不可欠なもの。
必要なのは…勝利に向かう我武者羅さ。
戦って勝とうとするのなら、犠牲にしないといけないものもある。
矜持を捨てねばならぬ時がある。
それでも心を揺らしてはならない。
捨てるものを利用しろ。
俺は1人ではない。
煌が居る。
煌にとっても…俺が居る。
だから俺達は…
何処までもいけるんだ。
『ROUND1終了。
坊、馬鹿犬共に――
――…勝利』
緋狭さんもどきの…声がした。