シンデレラに玻璃の星冠をⅢ


「ワンコ、これは?」


翠が小さい小さい環を手にして、空に掲げた時、



どくっ。


――芹霞ちゃあああん!!!



俺は反射的にそれをひったくって。



どくっ。


心臓が…

口から出て来そうな程の動揺が俺を襲う。



これ…。


これは…。



「何だこの紙…。へったくそな平仮名だな。小猿といい勝負じゃねえか。ええと…『せりかちゃ』…うわっ、櫂返せよ。まだ読んで無いんだよ、俺!!!」



見ずとも判ってる。

聞かずとも判っている。



『せりかちゃん、だいすき』



これは多分…

初めて書いた俺の恋文(ラブレター)。



芹霞…。


なあ芹霞…?



溢れる。

溢れてくるんだ。



止らない。

止ってくれない。



――僕、芹霞ちゃんだあい好き!!



俺の…恋心。



芹霞。


俺、また頑張るから。


頑張るから、芹霞。



だから――



――あたしも櫂がだあい好き!!



もう一度――


――紫堂櫂を愛してる!!!



俺を…好きになれ。

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