シンデレラに玻璃の星冠をⅢ
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何とか氷を小さく溶かして、玲くんのお口に運んだ。
小鳥に餌をやる親鳥の気分だ。
「これで少しでも良くなればいいなあ…」
玲くん、氷を含んでさらりぷっくり。
へっこめへっこめ、玲くんのぱんぱんほっぺ。
「……うっ…なんか寒いな…」
今まで体温が高いクオンが巻き付いていたおかげで、ぽかぽかと温かかったけれど…いなくなればうすら寒い。
氷を弄りすぎたのもあるだろうし、血を出しすぎたせいもあるだろう。
ぶるると1度身震いし、腕を片手で擦っていたら、玲くんが苦しげに身動ぎするのが見えた。
凄く汗ばんで熱そうだ。
………。
「………。玲くんは熱そうで…あたしは寒い。………。玲くんは目覚める気配ないし…少しだけなら…」
そうと決めたら、すぐに行動。
「ぬくぬく、分けて貰いに来ました…。お邪魔します」
玲くんのベッドに潜り込むのは初めてではないにしても、やはり花も恥じらう乙女としては身体が強張る。
しかしあたしの心に疚(やま)しさはない。
欲しいのはぬくぬくだけ。
ぷっくぷくとはいえ、艶気を垂れ流す悩ましい生き物を見ずに、生きる為に必要な最低限の熱だけ貰おう。
貰ったら、玲くんがお眠り中にさっさとお暇(いとま)すればいい。
鼻のふさふさが、赤い奔流に飛ばされませんように。
南無南無南無…。
潜っただけで温かい。
玲くんにくっつかなくても、玲くんの温もりが残る場所に居るだけで十分だ。
玲くん…頬だけではなく、全身が発熱しているんじゃないだろうか。
おでこに手をあてたら…やはりさっきより熱い気がする。
「はあ…。患者の玲くんに…回復結界作って貰わなきゃだめかな…。氷、早く効果現われてこないかな…」
そう嘆息した時、玲くんの目が開いた。
とろりとした鳶色の瞳。
また…寝惚けた状態になるんだろうか。
しかし、その口から漏れたのは…
「これ…まだ夢?」
また堂々巡りか…とも思ったけれど。
口が腫れすぎてもごもごと喋る玲くんの顔には、先程とは違う…"思考"しているしっかりとした表情があって、完全にお目覚めのようだ。
"玲くん寝ている間の逃走案"は強制終了、ならばここは逃げも隠れもせず、腹を括って潔く。
「100%現実です。おはようございます」
あたしは布団を剥いで、玲くんの隣に正座して言った。
何とか氷を小さく溶かして、玲くんのお口に運んだ。
小鳥に餌をやる親鳥の気分だ。
「これで少しでも良くなればいいなあ…」
玲くん、氷を含んでさらりぷっくり。
へっこめへっこめ、玲くんのぱんぱんほっぺ。
「……うっ…なんか寒いな…」
今まで体温が高いクオンが巻き付いていたおかげで、ぽかぽかと温かかったけれど…いなくなればうすら寒い。
氷を弄りすぎたのもあるだろうし、血を出しすぎたせいもあるだろう。
ぶるると1度身震いし、腕を片手で擦っていたら、玲くんが苦しげに身動ぎするのが見えた。
凄く汗ばんで熱そうだ。
………。
「………。玲くんは熱そうで…あたしは寒い。………。玲くんは目覚める気配ないし…少しだけなら…」
そうと決めたら、すぐに行動。
「ぬくぬく、分けて貰いに来ました…。お邪魔します」
玲くんのベッドに潜り込むのは初めてではないにしても、やはり花も恥じらう乙女としては身体が強張る。
しかしあたしの心に疚(やま)しさはない。
欲しいのはぬくぬくだけ。
ぷっくぷくとはいえ、艶気を垂れ流す悩ましい生き物を見ずに、生きる為に必要な最低限の熱だけ貰おう。
貰ったら、玲くんがお眠り中にさっさとお暇(いとま)すればいい。
鼻のふさふさが、赤い奔流に飛ばされませんように。
南無南無南無…。
潜っただけで温かい。
玲くんにくっつかなくても、玲くんの温もりが残る場所に居るだけで十分だ。
玲くん…頬だけではなく、全身が発熱しているんじゃないだろうか。
おでこに手をあてたら…やはりさっきより熱い気がする。
「はあ…。患者の玲くんに…回復結界作って貰わなきゃだめかな…。氷、早く効果現われてこないかな…」
そう嘆息した時、玲くんの目が開いた。
とろりとした鳶色の瞳。
また…寝惚けた状態になるんだろうか。
しかし、その口から漏れたのは…
「これ…まだ夢?」
また堂々巡りか…とも思ったけれど。
口が腫れすぎてもごもごと喋る玲くんの顔には、先程とは違う…"思考"しているしっかりとした表情があって、完全にお目覚めのようだ。
"玲くん寝ている間の逃走案"は強制終了、ならばここは逃げも隠れもせず、腹を括って潔く。
「100%現実です。おはようございます」
あたしは布団を剥いで、玲くんの隣に正座して言った。