シンデレラに玻璃の星冠をⅢ
「ちょっと待って。僕は芹霞を…「申し訳ありませんでした」
もごもご玲くんに、更に深々と頭を下げた。
「何で…芹霞に謝られる? 襲ったのは「申し訳ございませんでした」
もごもご。
あたしは無傷で、玲くんの顔はぷっくぷく。
全然腫れが引いていない。
あたしは最悪の未来を覚悟して、額をシーツに擦りつけて謝罪した。
「この先"枯れせりか"と成り果てますこと、お許し下さい」
「"枯れ…せりか"?」
「はい。"せりか"を育てる養分と土壌と潤いが、無くなってしまいますからには、もう"んふんふ"鳴けませぬ」
「??? んふん…痛っ」
その発音が、刺激的だったらしい。
玲くんは少し頬を抑えて考えてから、
「意味がよく…判らないんだけれど、僕のせいだよね?」
もごもご。
「とんでもありません!!」
ぷっくぷくはあたしのせい。
「原因を遡れば、僕が…「ではこうしましょう」
あたしは顔を上げて、パンと手を叩いた。
「喧嘩両成敗と言うことで」
玲くんはわけがわからないというように眉間に皺を寄せて…そして頬を手で押さえた。
「何で両成敗「この件はノーカウントと言うことで」
「え? そんな簡単に割り切れるものじゃ「無かったことにして下さい」
「なかったことにって…そんなの僕にとってムシが良す「お願いします!!!」
あたしは必死に訴える。
"枯れせりか"になるかならぬかの瀬戸際だ。
あたしの未来は、この会話の結果にかかっている。
「僕を…許してくれるの…?」
「勿論です」
「二度目が…あるの?」
「ありますとも!! だからあたしにもチャンスを下さい!!」
必ず玲くんの歯だけは元に戻しますから、"枯れせりか"に…"んふんふ"を!!
「ありがとう…」
何だかまだ複雑そうに、玲くんは微笑み…頬に手をあてて顔をしかめた。
とりあえず、納得してくれたらしい。
そういうことにしたい。