シンデレラに玻璃の星冠をⅢ

俺は指輪と手紙を握りしめた。



あの頃――。


――芹霞ちゃん好き、だい好き!!!


言葉で言っても、物足りなくて。

もっともっと消えない"好き"を形にしたくて。


芹霞が言う以上の永遠性が欲しくて。

もっともっと特別に思って貰いたくて。

安らぐ恋がもどかしさに変わりつつあった頃。


あれは真夏の…夏祭り時期。


その時目にした、宝飾会社のテレビのCM。


"永遠の約束"には、言葉と指輪が必要だと知った。


だから書いた。

覚え立ての平仮名を何度も消しゴムで消しては書き直して、俺の想いを誠意を…しっかりと手紙に記した。



そして――

貯めた小遣い握りしめ、

芹霞を道脇に立たせて待たせ…

縁日の露店で初めて1人で買った硝子の指輪。


今思えば"ぼったくり"。


どうしてこんな安っぽい玩具が、当時500円もしたのかと思うけれど。


それでも俺には、指輪を売っているのはその露店しか思い浮かべられなくて。



丸坊主で厳めしい顔をした店員がいる店に、勇気を振り絞って買いに行ったあの時。


怖くて怖くて手足をぶるぶるさせて…



――"えいえん"のゆびわください!!




< 41 / 1,366 >

この作品をシェア

pagetop