シンデレラに玻璃の星冠をⅢ
俺は指輪と手紙を握りしめた。
あの頃――。
――芹霞ちゃん好き、だい好き!!!
言葉で言っても、物足りなくて。
もっともっと消えない"好き"を形にしたくて。
芹霞が言う以上の永遠性が欲しくて。
もっともっと特別に思って貰いたくて。
安らぐ恋がもどかしさに変わりつつあった頃。
あれは真夏の…夏祭り時期。
その時目にした、宝飾会社のテレビのCM。
"永遠の約束"には、言葉と指輪が必要だと知った。
だから書いた。
覚え立ての平仮名を何度も消しゴムで消しては書き直して、俺の想いを誠意を…しっかりと手紙に記した。
そして――
貯めた小遣い握りしめ、
芹霞を道脇に立たせて待たせ…
縁日の露店で初めて1人で買った硝子の指輪。
今思えば"ぼったくり"。
どうしてこんな安っぽい玩具が、当時500円もしたのかと思うけれど。
それでも俺には、指輪を売っているのはその露店しか思い浮かべられなくて。
丸坊主で厳めしい顔をした店員がいる店に、勇気を振り絞って買いに行ったあの時。
怖くて怖くて手足をぶるぶるさせて…
――"えいえん"のゆびわください!!