シンデレラに玻璃の星冠をⅢ
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確かに――…

罪深い僕が…簡単には幸せにはなれないと思っていた。


何処かで何かのツケは回ってくる。

僕には、それ相応の応報があるはずだと。


両頬に手を添え…行き着いた小綺麗な洗面台。

そこにある鏡に顔を映した僕は…



「何これッッ!!!!?」



思わず大声を上げた。


その拍子にまた頬がジンジン痛み、思わず手で押さえる。



幻覚…?


しかし鏡の中の僕は、僕の動作と対称的な…驚愕に満ちた動きを見せて、間違いなく…僕を映しているんだろうことが判った。


だとすれば――

これは…僕?


え、ええええ!!!?


「…虫歯もないし、おたふく風邪のわけないし…。え…何? 一体何?」



鏡の中の、"僕"を見れば見る程――…


――リス?


紫茉ちゃんの笑い声が、頭の中でリピート再生される。


「ど、どうして…こんな…」


僕はよろりとよろめいて、壁に体をぶつけた。


特別…好きな顔でもなかったけれど、これは人としてあまりにも…凄くないか?

僕、このままギャグ路線突っ走らされるの?


そして思う。



「僕…こんな顔で真剣に…


芹霞に告白してたのか…?」



――うんうん。


あまりの羞恥と、絶望感に…無性に泣きたくなってきた。


「僕…本気で言ってたのに…」


――うんうん。


この顔で紡ぐ言葉は…完全にジョークとしか思えないだろう。

滑稽すぎる道化師(ピエロ)だ。


やり直し…させて貰えるだろうか。

僕の告白を、ギャグで終わらせたくない。


僕の中に尚も溢れるこの愛を、そして本気に嬉しいという本心を、どうしても本気で聞いて貰いたいんだ。


ドタドタドタ…。


「玲くん!!!?」


その時、芹霞が開け放たれたままの洗面所に飛び込んできて。


鏡の前で、呆然としている僕を見ると――


「見ちゃったの!!!?」


僕は頬に両手を添えながら、涙目でこくんと頷いた。


途端、芹霞は…


「OH、NO!!!!」


ムンクの叫び。


これ以上もないというくらいに、体中にあるどの穴も開いたようで。


派手すぎる感情表現を残して、またドタドタと音をたてて、出て行ってしまった。


静まり返った洗面台には、目を潤ました僕が1人。


「いなくなっちゃった…」


残ったのは…今し方、芹霞が驚いた拍子に床に落とした…2つの"つっぺ"。


「芹霞…」


僕の芹霞はつっぺになっちゃった。


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