シンデレラに玻璃の星冠をⅢ
「め、めめめメールがね…」
僕達は、芹霞の携帯画面が示す…受信トレイを見た。
その数――…
「ねえ…394件って…何だと思う!!?」
迷惑メールにしては多すぎる。
「神崎、紫堂本家に居た時からそうだったのか?」
「違う。ここで充電させて貰った時点では、メールも何も来てない、綺麗な状態だったよ?」
「だとしたら…七瀬の家に居る間に、394件!!?」
「ちょっと貸して?」
僕は芹霞から充電プラグがついたままの携帯を借りると、そのメールを見てみた。
『%83%5e%83X%83P%83e』
『繧、繧ソ繧、繝ィ』
『=83=86=83=8B=83T=83i=83C』
『$B%3%3%+%i%@%7%F(B』
『繝・Λ繧、』
『%83L%83G%83%5E%83N%83i%83C』
大体はそんな内容で。
「これ何っ!!!?」
芹霞は抱きついた。
反対側の紫茉ちゃんに。
僕はぐいと、僕の方に芹霞を引き寄せた。
「あ、ごめんな…玲」
紫茉ちゃんは…僕と顔をあわせようとしない。
肩が…小刻みに震えている。
いい子なんだけれどな。
「文字化け…だね。文字コード種が…一定してないんだな」
「ということは師匠…これは携帯からではなく、PCから送られている可能性が強いってことだね。差出人…FROMは同じもの? 同一?」
「ん……」
僕は目を細めた。
「どれも…アドレスが明記されてない」
「え?」
「TO、FROM、時刻、タイトル…全てブランクだ。"BCC"経由で芹霞に送られてきた可能性を考えても、TOに誰かのアドレスを入れない限り、送信出来ないはずなのに。FROMがないから返信は出来ないし。
この数を思っても…やはりPCから特殊プログラム送信の可能性が高いね。携帯からはどうしても出来る操作が限られる。改造されていたら別だけれど。
ただ文字コードがばらばらなのが気になる。別人か、同一人物か」
「何書かれているか確認したいね。パソコン…氷皇のあるけど、UNIXでネットブラウザないしねえ…。iPhoneで調べるか? WindowsやMacあれば楽でいいのに」
「Windows? ノートパソコンなら、あたしのがあるぞ? 持ってくるよ」
紫茉ちゃんがどこかに消え…そして手にノートパソコンを持って現れた。
「紫茉ちゃん!!!」
芹霞が飛び上がって喜ぶそのパソコンは。
「七瀬…これ…」
「そうだ。ティアラ姫尽くしだ!!
いいだろう…周涅から貰ったんだ」
紫茉ちゃん満面の笑み。