シンデレラに玻璃の星冠をⅢ
その時、ふと紫茉ちゃんと目が合った。
綺麗に微笑んでくれた紫茉ちゃん。
………。
何だろう、この胸のときめきは。
甘酸っぱさが拡がってくる。
紫茉ちゃん求めて手を伸しかけた時、
「うげっ…」
何故か…トリップしているはずの玲くんの腕が、あたしのお腹を締め上げた。
前屈みになったら、寝ている首元のクオンの頭が顎にぶつかって、
「フーッッッ!!!」
ネコパンチでアッパー&引っ掻き攻撃を食らい、驚いたあたしはそのまま玲くんに倒れ込み…
「~~ッッッ!!!」
玲くんまで連鎖的KO。
「神崎、君は一体何をしてるんだい!!! はい、師匠、氷水」
玲くん、ごめんなさい。
大人しくここから紫茉ちゃんとお話してる。
そう思って改めて紫茉ちゃんの再会に顔を綻ばせていると、何で紫茉ちゃんが紫堂本家に居たのかが気になってきた。
いや、まずそこから気にしないといけないんだろうけれど、さっきまで気にしていたのは玲くんの歯っ欠けとぷっくぷくほっぺだけだったから。
そして、台所できび団子を捏ねながら、紫茉ちゃんと会話していた時のことを思い出す。
紫茉ちゃんと会っていない間、あたしの環境も目まぐるしかったけれど、紫茉ちゃんもそうだったらしい。
――何が何だかワケが判らないんだ。
あたしより先に再会を果たした煌や桜ちゃんと別れた後、紫茉ちゃんはまた皇家に監禁されていたらしい。
そして突然着替えさせられて、巫女の"儀式"をさせられた直後意識を失い、目覚めて、この家であたし達との再会を果たしたらしい。
――何だかいつも周涅に言い様にされている気がするんだ。そうだ、玲の結婚話はどうなった?
紫茉ちゃんまで知っていた玲くんの結婚話。
潰えたことは話したけれど、子供云々は言わなかった。
――そうか、それだけでもよかった。しかも玲と付き合ったのか!! 玲は喜んでいるだろうな。ふぅ…あとは紅皇さんだな…。
紫茉ちゃんは朱貴=紅皇サンということを知っているのだろうか。
勝手に言ったら、紅皇サンに怒られる気がするから伏せて置いた。
――意識をあそこから移動させるのには、どうすればいいんだろう? 朱貴もあの場にいたから、聞いてみるかな。って、何であいつは必要な時にいないんだ。
凄く謎めいたことを言ってたけれど。
あたしが知っている紅皇サンの正体。
ちゃんと了承とったら教えてあげるからね。
さっき知ったばかりいえども、少しばかりあたしは先輩面。