シンデレラに玻璃の星冠をⅢ
「小猿、小猿!!!?」
肩を揺さぶれば、小猿が目を開けて。
口から漏らしたのは…。
「チャーチャチャチャーチャチャチャー♪」
駄目だ。
壊れてる。
「何だこの紙の山は…」
小猿の机の上に、山と積み重なっている何かの書類。
それを手に取ってみると…何かの問題だ。
英語の訳から、数学問題やら、国語問題やら。
「テスト!!?」
アホハットのガリ勉スタイルは…これか!!?
「ニノ」
櫂は声を上げた。
「このゲームの概要は?」
『お答えします櫂様、この問題を全て解いていき、あの迷路に向かうと…扉が出ますのでその解答を備え付けのポストに入れます。もしそれまでの問題が全て正解していたならば、扉を開けるとあちらの丘にある場所まで直通の通路が拡がっていますが、1つでも不正解があれば迷路を通ってあちらの丘まで行くことになります。
迷路には敵がおりますので、それを倒していかねばなりません』
「あの丘には何がある。音楽は…あちらから聞こえるようだが…」
『お答えします、櫂様。テトリスです』
「テトリス?」
俺が繰り返した時、突如頭上から声がして。
「僕じゃないよ!!」
リス…しか合ってねえじゃねえか。
「判ってるってんなことくらい!!」
「判っているならいいよ。人の親切を…怒鳴らなくてもいいじゃないか!!」
「人じゃないだろ、お前リスだろ」
「揚げ足取るのか、ワンコのくせに!! 僕を馬鹿にして!!」
頭にガツンと何か来た。
「お前…鉄の胡桃で殴っただろう」
「知らないね!!」
可愛くねえ。
玲そっくりだ。
「あれで叩かれて平気なのは煌くらいだな…」
俺の上で何かを見たらしい櫂が、ぼそりと呟いた。
「櫂、何か言ったか?」
「あ…いや。えーと、ああ、テトリスだ。此処から見ると随分大きいが…」
『お答えします、櫂様。巨大テトリスであり、一定期間でブロックは空から降ってきます。それを途中で受け止めて組み合わせて下さい。
只今ブロックの重さは800Kg。直前の問題を連続正解した数により重さは減じられます。
ボーダーラインを超えないよう、横一直線に並べて消して下さい。ラインを超えたらGAMEOVER。今はGAMEOVER中のようですね』
「GAMEOVERになったらどうなるんだ?」
『お答えします、櫂様。違う問題が50問加算されます。残りと合算した問題数×10kg分が次のGAMEのスタート時のブロックの重さに変わります。即ち、重くなります』