シンデレラに玻璃の星冠をⅢ
「おい櫂…。800kgで済んでるってことは…小猿、結構正解してたんじゃないのか?」
「ああ、多分な。全て間違い続けていればトンは超えているだろう」
「すげえな、お前。俺だったら全滅だぞ、きっと…」
「馬鹿を自慢してどうすんだよ、このワンコ」
「お前なあ!!」
「ニノ、ではGAMECLEARをするにはどうすればいい?」
『お答えします、櫂様。CLEARに必要なのは、横一列に並べて消す数を与えられた問題数とします。尚、その数の解答が必要です』
「与えられた問題数…全部筆記を解いて、その数をテトリスで消していかねばならないということか」
『お答えします、櫂様。その通りです』
「幾つあるんだ、この問題…」
俺は引き攣った顔で紙の山を見た。
『お答えします、イヌ。92問の問題が、61問まで減じられ、GAMEOVERにより50問加算されますので、111問になります。ブロックの重さは、連続正解しない限りは、1110kg、約1.11tになります』
トン…。
「俺でさえ…トンは辛いぞ…?」
「煌、お前修行でトンまで扱ったのか?」
櫂の声が上擦った。
「ああ…思い出したくもねえけど。緋狭姉に1tトラック…鎖で引かされた。しかも、上り坂」
「………」
櫂は何も言わず、憂えた目でぽんぽんと俺の肩を叩いた。
櫂は優しいな。
なのに頭の上に居座ってる奴は、
「くくくくく。ワンコがトン…。豚ワンコか。甘いものばかり食べて、体脂肪がぷっくぷくなんだろうな。くくく」
――馬鹿犬。あれだけ甘いものを控えよと言ったのに…体脂肪が8%になっている!!! 太った罰だ!!
ああこの、ぷっくぷくリス――
べちんと床に叩き付けたくなる。
「ニノ。結局『○○を禁ず』とはどういうことだ?」
『お答えします、櫂様。迷路に入った時にアナウンスがかかります』
「だったら、迷路に入らねばいいということだな?」
『お答えします、櫂様。そうです』
「時間は10分切っている。10分で111問。1分あたり11問。6秒で1問を解くペース。不正解だなんだと時間を食えば…タイムオーバー。
厳しいな…」
櫂が苦しそうな顔をして考え込む。