シンデレラに玻璃の星冠をⅢ
「ニノ、これは手分けして良いのか?」
『お答えします、櫂様。問題を解く係と、問題を提出してからあの丘に行き着くまでの2つになら手分け可能です』
「ということは…テトリスを、ブロックを連続的には弄れないのか」
『お答えします、櫂様。ブロックを弄った後、迷路を抜けて戻り、またスタートすれば大丈夫ですが、あの場に留まりテトリスを続行することはいけません。また、ブロックの落下速度は段々速くなりますので、そこもご考慮下さい』
「なあ櫂。別に俺、行ったりきたり身体使うのはいいけれど、迷路が『○○に禁ず』にひっかかるのが、やたら時間食いそうな気がするな。ということは、櫂が問題解いて…俺と小猿が交互にテトリスするのがいいだろうけど…」
「翠が…トン近くのブロックを弄れるかだな。全て問題を正解したとしても、ブロックは定期的に速度を増して落ちてくるなら、中途中途でブロックを拾いにいかねばならない。だとすれば…かなりの重さだ」
俺は頷いた。
とにかく、トンは…ずしり感が半端ねえんだ。
あの後…俺でさえ腰抜けて動けなくなった。
今、たった1回のブロックで腰を抜かしてしまったら、次に進めねえ。
「俺も…走った方がいいな。まがりなりとも…重心、"支軸そらし"が出来るなら」
櫂は言った。
「ん…可能性的にはな。ただ…問題は不正解ということを念頭入れないといけねえ。小猿が6秒に1問解き、俺達が迷路通りながらのテトリスCLEARが、10分に間に合うかだ」
何だか…絶望的のようにも見えた。
櫂は深刻な顔をして考えている。
「ねえねえ、僕は何をすればいいのさ」
その時、玲リスがぴょこんと頭から降りて来て、首を傾げた。
「何をすればって…チビのくせにお前何出来るよ」
「僕の力を見くびっているの!!? 僕は何でも出来るんだ!! 力持ちでもあるんだぞ!!?」
両手を腰に当てふんぞり返って、尻尾をぱたぱたさせているけど…
「説得力がねえ…」
俺は頭を抱える。
「失礼だな!!! 僕はいつも鉄の胡桃で鍛えているんだ!!!」
「鉄の胡桃を持ち上げられたら…なんだって言うんだよ…」
「むっ!!! 何だよ豚ワンコ!! トンくらい何だというんだ!! それに僕は、頭だって良いんだ!! どんな問題でもスイスイだ!!」
駄目だ、このリス…阿呆だ。
だけど…もしかすると玲みたいに頭がいいかも知れねえ可能性はある。
望み薄だけれど。