シンデレラに玻璃の星冠をⅢ
「お前…この問題、解けるのか?」
俺は一番上の紙を見せた。
「ふん、簡単じゃないか」
『○に適当な語を入れて、
イコールで結びなさい。
1kg=○○○○g』
あ、簡単だった。
これくらいなら俺だって。
玲リスは机に上がると、鉛筆を両手に抱えて器用に動かして。
「出来た。見ろよ!!」
ずいとその紙を俺に突き付ける。
櫂も見る。
俺も見る。
「…………」
「…………」
「…………」
「…………」
「…………」
「…………」
「ふふん。正解だったから、何も言えないんだろ!!!」
鼻高だかな処悪いけどよ…。
『1kg="いちきろ"g』
………。
「答えは…『1000g』だろうが!!!
こいつ、ド阿呆だ~ッッ!!」
俺は本気で頭を抱えた。
その時、小猿が目を覚したようで。
「◇○△※□!!!!」
涙目の小猿から、言葉にならない歓迎を貰った。
「う~~ッッ!!」
抱きついてくる小猿に、よしよしと頭を撫でてやる俺と、
「よく頑張ってきたな。これからは一緒にやるぞ?」
櫂に声をかけられ、小猿はこくこくと頷きながらぐすぐすと泣いてしまった。
余程、辛かったんだろう。
その時、こっちに歩んできた玲リス。
間近から、じぃっと小猿の顔を見つめている。
「………」
「………」
「………」
「………」
「………」
「………」
猿とリスが見つめ合っている。
やがて玲リスがにこっとして首を傾げたら、
「目がくりくりして可愛い、これ~」
小猿が玲リスを持ち上げて、頬にすりすりしようとした。
ぽか。
「僕のほっぺすりすりは芹霞専用だ。猿にはさせないよ」
カリカリ胡桃もどきのアメ玉で攻撃だ。
どうして俺だけ鉄の胡桃なんだろう。
"求愛"で人殴って良いのかよ。
「……。ワンコ、この人間語話す可愛い顔した生き物、何? 何だか…聞いたことある声なんだけれど…」
俺に怯えた目を向けてきた小猿に、
「ああ、それは玲だ」
「玲?」
「僕が何だよ」
また小猿は怯えた目を向けて来た。
「何で紫堂玲がこんなになってるんだ?」
「さあ?」
櫂を見たら、櫂も肩を竦めた。