シンデレラに玻璃の星冠をⅢ
俺が重い扉を開けると――
そこには…空と地面以外一面緑。
高壁のように垂直に刈られた…城の庭園のような趣の、何処までも一本道が続いていた。
玲リスと小猿と俺と櫂の解答を組み合わせて、全問正解だったのは素直に嬉しい…反面、あんな答えでも、通ってしまうのは、採点者がニャンコだからだろうか。
しかし…そのニャンコは何処に居たんだ?
誰が鍵を開けたんだ?
どうきょろきょろ見渡しても…前には一本道、後ろには俺が入ってきた扉一枚しかなく。
ニャンコが使いっ走りでも、誰かまだ居るとしても。
そいつらが今、何処にいるのか判らねえ。
本当にわけの判らねえ不可思議な世界だ。
そんなことを思いながら走れば、特に何が出て来るでもなく、すんなりと向こう側に行き着いてしまった。
「あっけねえな」
♪チャーチャチャチャーチャチャチャチャー
やがて耳に聞こえてくるのは、例のあれだ。
テトリスの音楽が喧(やかま)しく耳についてくる。
そしてそこには…でかいテトリス台と思われる枠組みが用意されていて、その中にブロックが無造作に積まれていた。
7種類だとか言っていたけれど、積まれたブロックは色がついている。
現状、同じような横列に赤色のL字が縦になっていて、一番高い処に、少し横にずれた感じで…青い正方形が積まれていた。
そして上から落ちてくるのが白い、凸型ブロック。
「下に並べていかねえと…すぐライン超えしそうだな。おいニノ。これは俺の好きなタイミングで直接触りにいっていいんだな?」
『お答えてします、イヌ。結構です。ただしその際、既に積まれたブロックを踏めば、落下速度が5秒早くなりますので、ご注意下さい』
おおっと、いけねえや。
後続になるはずの櫂達が、僅かな時間を惜しんで必死に答え書いているのに、俺が此処に招く時間を縮めさせては。
出来るだけ長く。
俺は自分の跳躍の高さぎりぎりまで堕ちてくるのを待ってから飛び跳ね、ブロックを両手で抱えた。
――!!!
「重い…」
ずっしりと腰にくるけれど…トンの重さではねえ。
正解数で重さが減じられたんだろう。
けど…決して軽いワケではねえ。
重力でストンと直下しそうなのを、上腕筋と背筋に気を流し込み、どうにか横の底辺に落とすことが出来た。
絶対これ、緋狭姉の荒修業してなきゃ、重力加わった落下物を受け止めるのは無理だって。
修業怠けてた小猿には無理無理。