シンデレラに玻璃の星冠をⅢ


「チビ桜、みっけ!!! こっちも、あ、こんな処にも!!」


流石に知り合いの顔をした奴の身体に、本気で拳は入れられねえ。

軽い手刀をその小さな身体に入れて、地面に叩き付つければ消えて行く。


『1匹!!』

『2匹!!』

『3匹!!』


朱貴はカウントはしてくれるらしい。

ぐうたら緋狭姉には出来ねえ芸当だ。


茂みに隠れようとしている豹の尻尾。

捕まえたら四肢をじたばたさせるチビ櫂。


頭隠して尻隠さず。

可愛い顔して奇妙な笑いしてたけど、これは完璧主義の櫂じゃねえ。

額にデコピンしたら、消えて行く。


『4匹!!!』


時々チビ玲が混ざっているからフライングになるが、見つけても走り去ろうとするチビ共の速度はかなりのもの。

多くを捕獲しようと欲を出せば、拡散するように逃げるチビ共はいつの間にかいなくなり…1匹も捕まえられなくなる。

何より迷路だ。

チビ共を追いかけてくれば行き止まりにぶちあたり、その裏側からチビ共の声が聞こえたりしてきたりする。

チビ共には"壁"の概念はないらしい。

とにかく俺は、出口を探しながら50匹、チビ共に攻撃しなければならねえ。

しかし出口の道なりには当然のようにチビ共がいねえから、待ち構えているだけ時間の無駄。

捕獲に出れば、道に迷う。


『31匹』

『43匹』


あと僅かなのに…チビ共が出なくなってきて。


そう。

出てこなければ終わらねえ。


ああ、探すのは時間がかかりすぎる。


そんな時、チビ達以外の気配を感じ取った。


近付いていけば…


「芹霞!!?」


そこには芹霞が横向きに倒れていて、思わず俺は抱き上げた。


芹霞だ。

芹霞が居る。

チビからすればアダルトバージョン、俺からすればいつもの芹霞。

顔には紙はねえし…この抱き心地、この匂いは…芹霞だ。

もぞりと俺の手の中の芹霞が身動ぎをする。


「………」


あ…。

あまりにもやばすぎる芹霞の格好。

開けられた第二ボタンからちらりと見えるのは、白いレースの下着と谷間。


………。


太股は際どい処までスカートが捲れ上がり、白い足が艶めかしく…ゆっくりと動いていて。


どくん。


禁欲中の俺の身体と、閉じ込めていた芹霞への想いが息を吹き返そうとする。
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