シンデレラに玻璃の星冠をⅢ


「ん……」


寝惚けたような声を出して、芹霞さんはまたばたりとベッドに沈み込む――と、同時にくしゃみをして。


私と玲様が、慌てて布団に手をかければ。

がしっと…私と玲様の手を芹霞さんの両手が掴んだ。



「「え?」」



「ぬくぬく…。

皆でぬくぬく…」



芹霞さんは、私達の手を凄い力で引き寄せると、


「玲くんこっち。桜ちゃんこっち。

皆でぬくぬく…」


そう言った。

私と玲様の認識は出来ているらしい。


「れ、玲様…これは…芹霞さんの横で寝ろということでしょうか?」

「そ、そういうこと…らしいね。ま、まあ…櫂のベッドは大きいから、3人寝ても大丈夫だけれど…」


離れない、芹霞さんの手。


私は――

煌の頬をバシバシ叩いて、巨大な偃月刀を振り回した場面を思い出してしまい…頬に、嫌な汗が流れたのを感じ取った。



「皆でぬくぬく!!! 早く、早く!!!」


「駄目だ…無理に布団かけようとすれば芹霞が足ではいでしまう。このままなら僕達が横にならない限り、芹霞は布団をかけずに風邪をひいてしま…あ、またくしゃみして震えてる…。もうこれは…」


「あ、で、では…玲様どうぞ…。私は…」

「桜ちゃんこっち!!! 桜ちゃ…っくしょんッッ!!」


「桜…駄目だ。とりあえず…横になろう…」

「れ、玲様!!? 玲様はいいです。芹霞さんは玲様の…」


「玲くんぬくぬく…。ん……。桜ちゃん、桜ちゃ…っくしょんッッ!!」


「ほら桜。芹霞の背中にぴとっとくっついて…」




「はいいい!!!?」




私は飛び上がった。




「っくしょんッッ!!! っくしょんッッ!!!」


「ほら、桜。ダブルで来ちゃったから。大丈夫。芹霞は襲わないよ」

「いや…そういう問題では…」


「っくしょんッッ!!! っくしょんッッ!!!」



玲様は…

芹霞さんと抱き合うようにして、既に横になっている。


開き直ったというか…

状況を堪能している気もする。


抱き合う?

絡み合う?


表現なんてどうでもいい。


玲様はいい。

玲様はいいんだ。


だけど、何で私が…。


「っくしょんッッ!!! っくしょんッッ!!!」

「桜」


「っくしょんッッ!!! っくしょんッッ!!!」

「桜!!!」




私は――。



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