シンデレラに玻璃の星冠をⅢ

述懐2

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◇◇◇


さっきから、ずっと横にいる**の視線を感じる。


「芹霞ちゃん…それ、イチルちゃんにあげるの?」


視線の先にあるのは、あたしが持っている紙袋の中身。


「うん。だって大事な魔法を見せてくれるのに、ただお呼ばれするわけにはいかないでしょう?」

当然のようにそう答えながら、**と手を繋いで歩いていく。


暫(しばら)く沈黙が続き、**が口を開く。


「芹霞ちゃん…それ、ずっと作ってたモノだよね…」

「うん。お人形なんて初めて作るからよく判らなくて。針で指ぶすぶす。ほら、絆創膏だらけ」


そう笑って、**と繋いでいた手を外して、情けない手を**に見せたら、**はその手に縋るように頬をあててきた。


「どうして…僕にはくれないの…?」


絆創膏越し、柔らかな頬に指先に触れる。


「どうして…イチルちゃんなの?

僕に…くれるんだと…僕…お利口にしてずっと見てたのに…」


びっくりした。

だって…こんないびつなお人形…**が欲しがるとは思わなかったから。

**はワンコのお人形が好きだったでしょう?


これ、一生懸命作ったけれど、結構…可愛くない。

しかも、左の目と右の目のボタンの色を変えた、"イチルちゃん人形"なのに。


あたしは、困って**に聞いた。


「**も欲しかったの?」


すると**はこっくりと頷く。


「芹霞ちゃんが作ってくれるものなら、何でも欲しいもの…。僕…嬉しいもの…」


そうぽろぽろと涙を零して泣いてしまう。


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