シンデレラに玻璃の星冠をⅢ


『93』

『132』


『6秒経過しました』


「うし、じゃあ俺も胡桃だけじゃなく攻撃…」


「ニャアアアン…」


俺の芹霞。

ふらふら…と自然に体が吸い寄せられちまう。


ガンガンガン。


「痛えっ!! 俺の頭に攻撃するな!!!」

「煩悩滅殺!!! 繰り返せ馬鹿犬!!」

「煩悩…」

「ニャアアアン…」

「滅殺!!!」


泣く泣く…俺に手を伸ばした芹霞に背を向ける。


『7秒経過しました』


『133』


「俺のネコ耳芹霞…ぐすっ…」


ガンガンガン。


「あんな化け猫娘は、僕の芹霞じゃないよ!! 僕の芹霞はもっとニコニコして清らかで。あんな色仕掛けするような子じゃない!!」

中々に潔癖症のリスらしい。

色気満載で"あの域"に到達している、本体とは違うのか。


「僕と一緒に居るときの芹霞は、もっとこうとろんとした目をして、段々甘い声を漏らしてきて・・・あぅっ」


ぴんと指弾き。


「…お前、芹霞に何してるよ」

「一緒に、スイーツ食べたときのラブラブ話だよ!!」

「芹霞がリスと甘いものなんて食わねえ!! ラブラブって何だ!!」


もう一度、指弾き。


やっぱり、"れい"という生物は侮れねえ。

何処で何やっているか判ったもんじゃねえ。


玲…。

芹霞におかしなことするなよ!!?



『144』

『156』


だけど忘れてはいない。

その間もちゃんと、胡桃は踏んづけ、ネコ耳以外は攻撃している。

休んでいる身体の部位はねえ程、忙しく身体は動いている。


チビリスもひょいひょい鉄の胡桃を投げていて、攻撃の手を緩ませない。

本当に…何処から出しているんだ、コイツ…。


走る。

走る。


とにかく俺は走りながら、攻撃する。


チビ共も逃げる。

凄い勢いで逃げる。

蛇行しながら、宙に回転しながら。


それに食らいつく俺。


取り出した巨大な偃月刀。


「飛ばされるなよ!!?」


大量の数捌くのは、これがてっとりばやい。

速さを押さえるには風がいい。


大きく旋回させて、風を生み出し…チビ達を薙ぎ払う。


チビ達はパニックを起こして泣き騒いでいて、良心がちくちく痛むけれど。

ぶった切っているわけじゃねえ。


それで勘弁な?
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