シンデレラに玻璃の星冠をⅢ
「ああ、凄い、凄い。だけど…何でお前、知識がねえんだよ」
「僕はね、"知能"が高いんだ!!! だから頭がいいんだよ!! 知識なくても、役立たずなんていわせないよ!!」
そう言うと俺の頭に飛び乗った。
知識がないって…認めるんだ?
だけど頭はいいと言い張るんだ?
まあ…勉強できる奴が知能指数高いとは限らねえし。
知能指数高い奴が勉強出来るとも限らねえし。
「さあ、馬鹿犬!!! 急いで戻ろう!!! 走るんだ~ッッ!!」
とりあえず、ただのチビリスじゃねえのは判った。
俺の髪引っ張って…手綱のつもりかよ。
俺、リスのイヌかよ。
だけどま、ご機嫌リスの声聞いていると、何だか機嫌のいい玲を思い出して。
玲と一緒に戦っている気がすれば、自然と顔には笑みが浮かんでくるんだ。
俺には、どうしても"約束の地(カナン)"で、櫂と3人で力を合わせた時のあの気持ちよさを忘れられなくて。
やっぱ…皆で一緒に居たいよ。
早く合流したい。
その為にも、強くならなくては。
『チェシャ猫を禁ず。
チェシャ猫を50攻撃せよ』
帰り道、今度はチビ久遠だけの攻撃となる。
「朱貴…合算」
『了解した。リスと犬…
55攻撃START!!!』
………。
逃げ回るチビ共見ると、懐かしき日々を思い出す。
現実の皆はどうしているだろう。
――この、発情犬が!!!
桜。
ちゃんと芹霞と玲、守っているか?
――むふふふふ。
遠坂、ちゃんと皆と合流できたか?
玲の手足となってるか?
――あたしはあんたが好きだって言ってるでしょ!!?
……芹霞。
俺が強くなったら…
少しは俺のこと、見てくれるか?
櫂でも玲でもなく、俺のことを…。
「芹霞だッッ!! 僕の芹霞だ!!!」
頭上から地面に降り立ち、全速力で走り出すチビリス。
「~~ッッ!!! 黙れドチビ!!! 芹霞は…俺のもんだ!!! つーかチビ、おいッッ!!! 捕まえるのはチビ久遠だ、芹霞じゃねえ~ッッ!! いい加減、学習しろ!!! 煩悩滅殺だッッッ!! 聞いているか、おいッッッ!!」
どこまでも芹霞一筋の、欲に塗れたチビリスを追いかけ、俺は走る。