シンデレラに玻璃の星冠をⅢ
『3秒経過』
無邪気に笑う芹霞。
悩ましげに誘う芹霞。
多くの芹霞に背を向けながら。
チビリスの邪魔をしながら。
『11』
『19』
そして殊更に思うんだ。
やっぱ俺は芹霞が好きだ。
どうしようもねえ程。
理屈でこの感情は説明できねえ。
『6秒経過』
我慢しようとすればする程、心が苦しくなってきちまう。
考えないようにしようと思えども、こうしたお前の姿を見ていれば、俺の想いが溢れてたまらねえよ。
何処まで惚れ込んでいるよ、俺。
『32』
『9秒経過』
俺は、こんな幻影など欲しくねえんだよ。
『55 CLEAR』
欲しいのは――
本物の芹霞だけ。
本物の顔が見たい。
本物の声が聞きたい。
――煌ッッ!!!
怒っててもいいから…
俺の名前を呼んで欲しい。
恨んでてもいいから…
どんな形でもお前の心の中に入れて貰いてえんだ。
――玲くんが好きです。
………。
残酷な女。
――あたしはあんたが好きだって言ってるでしょ!!?
責められたらどんなにいいか。
横から掻っ攫えたらどんなにいいか。
芹霞…。
諦めきれねえよ。
消したくねえんだよ、どんなに苦しくても。
なあ…駄目か?
もっと…ぶつかってみたいと思うのは。
俺、少しは顔赤くならなくなったんだ。
ヘタレを少しずつ返上しているはずなんだ。
だからさ…芹霞。
幸せにしたいと思うのくらい、いいだろ?
守りたいと思うのくらい、いいだろ?
今度こそ――…俺が。
芹霞、会いてえよ。
会って…お前と愛し合えたら…。
頭に過ぎるのは櫂の顔。玲の顔。
「………っ」
俺は握った拳にぎゅっと力を込めた。