シンデレラに玻璃の星冠をⅢ
「よし、チビ!!! 問題掴んで、急いでテトリスに戻る!! 問題…お前の山2枚じゃねえ、櫂のを混ぜろ、櫂のを!!!」
「僕は頭がいいって証明されたじゃないか!!! だから僕の2枚!!!」
「頭良くても知識がねえの、お前は!! 自分で認めただろうが!!! 俺達はGAMEOVERにさせれねえんだよ!!! つべこべ言うな!!! お前の1枚、櫂の1枚!!!」
やたら自分に自信がありすぎる、ふて腐れリスを摘んで再び扉の前。
やはり見える肉球。
それでも姿を現さないニャンコ。
本当にお前、何処にいるんだ?
『全問正解、ちくしょう』
最後に肉球マーク。
"ちくしょう"は"畜生"のシャレ?
お前狙ってたのかよ?
聞きたくても…開く扉の先に、居ねえんだよな、全く。
何処に張付いているんだろ。
締めた扉の反対側にも張付いていねえし。
本当に不思議な猫だ。
「しかし全問正解とは…お前の解答あってたのか!!」
「だから言っただろ、僕は頭が良いんだって!!」
ぴょこん、ぴょこん。
俺の頭の上で飛び跳ねて怒るリス。
まあ…こんなこともあるだろう。
小猿か俺の解答だったかも知れねえし、今となっては真相は闇の中。
此処を抜けるのは、8秒かかるとニノは言った。
「なら、俺は…5秒で抜けてやる。ニノ、タイムを測れ」
『判りました、イヌ』
久々の…障害ない全力疾走。
俺は両手指を地面につけて身を屈めると、顔だけ上げてゴールを見据える。
「用意…START!!!」
――駄犬、筋肉が動いてない!!
――お前には忍耐がないんだ。死ぬ気で走れ。
走る。
走る。
俺の身体は、伊達に緋狭姉に鍛えられてねえ。
人が出来ることを人並に出来たから何だって言うよ?
人が出来ねえことを出来て初めて、鍛錬の効果が出てるってもんだろう。
出来る。
俺はまだまだ出来るんだ。
「うわ、うわわわわ。飛ぶ、飛ばされる~」
「しがみついてろ!!!」
風を切って俺は走る。
「ゴールだ。ニノ、タイム!!!」
『お答えします、イヌ。タイム4秒32』
「ん~半分切れなかったか…」
ぽりぽり頭を掻きながら、やや不満足な結果だけれど。
「馬鹿犬、音楽が早くなってる!!」
玲リスが声を上げた。