シンデレラに玻璃の星冠をⅢ
攻撃カウントは2人合算プラスα
俺が持ちかける前に、煌とレイは既にそうしていたらしい。
数は増えるけれど、それが得策と判断した辺りは、本能の成せる業だろう。
上手い具合に連携が取れている。
全てはこのまま、順調に進んでいくはずだったんだ。
しかしそれは…あくまで俺の願望の域を出ていないことを、その直後に思い知らされる。
『三月ウサギを禁ず。
三月ウサギ以外を…ふぅ』
突如朱貴が溜息をついたんだ。
「どうしたんだ?」
俺と翠と顔を見合わせながら、溜息が意味する処に一抹の不安を覚え、顔を曇らせる。
そして朱貴は言った。
日頃の翠に接するような、丁寧な口調で。
『折角翠くんがいるのに…変わり映えしないのは失礼ですね』
は?
「い、いいよ朱貴!! そのままで行こうぜ!!?」
何をか感じたらしい翠が飛び跳ねた。
『やはり失礼に当りますので、少し変えます』
「ニノ、これも定義(ルール)にあるのか!!?」
『お答えします、櫂様。ありです。アナウンス主の気分で変わります』
簡単に言い除けるニノに、俺は舌打ちした。
残り時間僅かにして、またゲームを再編成しないといけないのか!!?
『では。
罰則(ペナルティ)レベルAAC』
正答率による罰則(ペナルティ)レベルが3桁になった。
ニノに訊かなくても判る。
難易度は勝手に上がったんだ。
俺はごくりと唾を飲み込み、朱貴の言葉を待つ。
『同一人物による…
連続攻撃を禁ず』
つまり、俺と翠は連携を取りながら交互に攻撃しないといけない。
しかしそれが…難易度が3桁になる程のものなんだろうか。
朱貴は続けて言ったんだ。
『1人ずつ交代により…4の倍数ごとに三月ウサギを、8の倍数ごとにシロウサギを、2つの倍数が重なるときには、チェシャ猫の謎々を解け。
それ以外は、三月ウサギ、シロウサギ、チェシャ猫以外を65攻撃せよ。
1ミスにつき、攻撃目標数5追加』
……!!
流石に…俺の顔が引き攣った。