シンデレラに玻璃の星冠をⅢ


「――……。

だからといって…、怖いものでも見たかのように、そこまで遠ざかられれば、男としては流石にショックだね…。

………。…何だかね…。本当に…何だかね…」



その時玲くんの顔に…意地悪い笑みが浮かんだ気がした。

何事!!!?


「おいで…?」


囁くようなその声を発した途端に、妖しく光り出した鳶色の瞳。

乱れた髪の毛が、端麗な顔をより妖艶に彩って。


ベッドの上に横たわったまま、

白い手が伸べられて――


「また…僕と寝よう?」


誘惑するような…

流し目を食らったあたし。



「ぴったりくっついて…

溶けちゃうくらいに…」


ひいいいいい!!!?



「僕と…愛し合おうか…」



だから何事!!!?


何でそんな…艶気を撒き散らすの!!?

何、何、本当に一体何なの!!!?


駄目だ、鼻…鼻が!!!


噴き出る、噴き出てしまう!!!


鼻血を抑えようと、反対側にエビ反りすれば――


ごつん。


頭に固いもの。



何!!!?



「ひっ!!!!?」


ブリッジ状態で、真っ逆さまから見れば――

固まったままの…小さな黒い頭。


な、何で桜ちゃんが!!!?


桜ちゃんが…石のように固まっている。


しかも――

大きい目の焦点が合っていない。


何!!?

どうしたの!!?


判らない。


今、この状況になっている"意味"がまるで判らない。


誰か教えてください!!!



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