シンデレラに玻璃の星冠をⅢ
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ない、ない、ない!!!!


ATMがないんだ!!!

看板通り進んできたはずなのに…機械がない!!!



「『故障により撤去中』

――って何だよッッ!!!!」



僕の目の前にあるのは、

ぽっかり…何かが無くなった虚しい空間のみ。


今は5時10分前。


僕は桜華から出て走る。


まずに近くにあったコンビニに飛び込めだ。


しかし――…


「何でこんなに並んでいるんだよッッ!!!」


30人くらい並んでいる。

しかも…よぼよぼのお年寄りが多いんだ。


何でこんな時に限って、老人がわさわさと湧いて出て来るんだよ!!

しかも何でコンビニにくるのかな、普通は銀行行くだろ!!?


半分涙目になりながら、目に入った銀行に飛び込めば。


『振り込み先に指定されたその銀行はお取り扱いできません』

「都銀じゃないかッッ!!!」


僕は走る。

無我夢中に走る。


自動車を踏み付け飛び越え、ぺこぺこ頭を下げながら、とにかく交通ルールを無視して走りまくる。


立ち止まれるのは、ATMがあると思われる場所のみ。


後は全力疾走の持久力戦。


此処まで必死に走っているのに――


『振り込みは時間外につきお取り扱いできません』


機械だろ!!? まだ5時だぞ!!?


『1回の送金は10万円までです』


何百回振り込まないといけないんだよ!!?


『窓口扱いになります。窓口にいらして下さい』


5時で窓口開いてるかよ、シャッター閉まってるぞ!!?


『故障につき、分解中です』


何で分解するんだよ!!?


――あははははは~。


呪いだ。

青い呪いだ。


5時20分。


最初の1割は確定だ。
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