シンデレラに玻璃の星冠をⅢ
時刻、5時50分。
「玲、此処だ此処だ!!! メンテに来たおじさんに話して、此処は後回しにして貰ってたからな!!! 今…此処以外、全てメンテ中になってるぞ!!」
「紫茉ちゃん、ありがとうッッ!!!」
紫茉ちゃんが女神様のように思えてくる。
そして――
『送金しました』
3度目の1割増を加算した金額を送金出来た僕は、ようやく息をついて汗を拭う。
送金は――
最初の…桜華の地点から。
「よかったな、4度目の加算前で。だけど玲は電気の力がなくても、操作は早いなあ…」
「必死だからね…」
巡り巡って、結局最初の地点に立ち返った。
"初心にかえれ"
それ故の"原点回帰"なら。
――あはははは~。
氷皇の布石はぬかりない。
複雑な余韻は、紫茉ちゃんの声に遮られて。
「玲、あと1分で6時だぞ、体育館!!!」
「え、走らないと!!!」
――あはははは~。
時間は僕を待ってはくれない。
またもや僕は、全力疾走する羽目になった。
◇◇◇
《UpperWorld006》