シンデレラに玻璃の星冠をⅢ
1.と2.の出題意図は判る。
俺だって謎として、戻り道中考えていたことだし。
正直、最終問題となっているのは…"やっぱり感"が拭えねえ。
だけど――
「"イケメン情報屋"って誰だよッッ!!!」
「ワンコの言う通りだ!!! 誰のことだッッ!!!?」
どうでもいいが故に、見逃せられねえ問題が1つ。
「ひーちゃんのことに決まってるやろ~。"聖は何者か"という問題だったら、正解は"イケメン情報屋"と簡単になってしまうやろ?
ごっつぅ~ええ問題や~」
「「ふざけんなッッッ!!!
何処がイケメンだ!!!?」」
「煌、翠…突っ込む処はそこなのか…?」
何だか櫂のぼやきが聞こえてきたけれど、何を言っているのかよく聞き取れなかった。
「櫂…どうだ? 判るか? 手分けしようぜ。とりあえず1.と2.だけ考えろ。3.は俺と小猿が考える」
「ワンコ、俺答えが判ったぞ。3.は"ただの馬鹿"が答えだよ、うん」
「小猿。"ただの阿呆"かも知れねえぞ?」
「えええ!!? 馬鹿と阿呆は、どっちが下!!?」
「難しいこと聞いてくるな、お前」
俺と小猿は腕組みして、うんうん唸りながら考える。
その隣では、櫂も凄く困った顔をして、いつになく深く考え込んでいる。
ここまで深刻そうに考えてる顔を見るのは久々だ。
思い切り悩んでいるんだ。
そうだろうな、難解だよ、これは。
だからこその最終問題なんだろう。
俺と小猿も必死だ。
馬鹿が下か、阿呆が下か。
カリカリカリカリ…。
上から玲の声が混ざった。
「どうせなら、"イケメンリスは何者か"っていう問題にすればいいのに。問題に全くセンスを感じられないね。僕が出る程でもないね、そんな問題。イヌとサルとで十分だよ」
カリカリカリカリ…。
………。
「おい、リス。いつからイケメンになった、お前。大体お前、リスだろ、"メン"じゃねえだろうが」
カリカリカ…。
「ちょっと言い間違っただけだろ? 揚げ足取るなよ駄犬。そうだよ、僕は…"イケリス"だよ!!! リスの王子様なんだから!!!」
カリカリカリカリ…。
………。
「おい、逆ギレチビ。俺達は真面目に問題を考えているんだ。見ろよ、櫂ですら答えが判らなくて必死に考えているんだよ!!! くっだらねえジョークで、俺達の気力を萎えさせるな!!」
「むうううっ。"イケリス"の何処がジョークなんだよ!!! 僕だって真面目だよ!!」
「何処が真面目だ!!? お前ぷっくぷくのくせに、よく…「煌」
至って冷静に、俺の声を遮ったのは櫂。
やはり困った顔のまま…言ったんだ。
「問題の解答なら、3問共…もうとうに出来ている」
「「は?」」
俺と小猿は同時に声を出して、聞き返してしまう。
「俺が考えていたのは…
誰があの帽子を被るか、
ということだ…」