シンデレラに玻璃の星冠をⅢ
「はあああ!!? 櫂、このアホハットがそんな芸当出来るわけねえだろうが!!! 現実世界では俺達護って、同時に今は全員を夢に案内しているって!!? 櫂、こいつをよく見てみろよ。よく見なくても、アホなんだぞ!!!?」
「アホとはなんや、ワンワンはん!!!」
「うっせえアホ!!!」
「煌。多分…それが情報屋の…聖の力だ。恐らくは…七瀬のように夢に誘うことが出来る。七瀬と違うのは…、同時進行で現実世界でも、情報屋の意識統制出来ること。2つの世界に同時に意識を統べることも出来る。
それだけではないな。七瀬の力とは段違いに強大なはず。少なくとも…連れてきた俺達に、夢の中だと悟られぬような…現実の五感を知覚させられる程には。言わば此処は…明晰夢でありながら、情報屋の意識によって再構築されている…情報屋の領域」
「はあああ!!?」
「ワンコ…あのさ…」
翠が考え込むような仕草を見せて、煌に言った。
「ワンコが初めて聖に会った時。そう、葉山と…籠目の陣に囚われたあの時、聖が言ってたの…ようやく思い出したんだ」
――何でお前が陰陽道真似た力持てるんだよ!!? たかが情報屋に、あの万年筆と陣をどうして操れるんだよ!!?
「そう俺が言った時さ、」
――これくらいは答えましょ。あれはウチの術ですわ。"移転"させる陣。
「そして、続けて聖…こう言っただろ」
――朱やんも周涅はんも似た術使いま。ウチが飛ばせるのは、悪夢の中や。
――そう。人間の深層心理の一番ドロドロとした中や。そこには色んな情報も詰まっていて、おいしい処でっせ~?
「そうだったか?」
煌は思い出せないようだったけれど。
「なんだ、お前達は…先に解答を得ていたのか」
俺は苦笑せざるをえなかった。
あくまで俺の推測の域だった。
此処は…聖が、あまりにのびのびとしている世界だったから。
聖の支配下にある領域だと…そう思ったんだ。
「では第3問目や。
このイケメン"ひーちゃん"は何者や?」
にやりと…笑う顔は軽薄なものなれど。
滲み出る威圧感は…重厚で。
知っている。
この類の空気を…俺は知っている。
だけど――
俺は負けない。
負けるものか。
例え――
「緑皇」
五皇を相手にしても。