シンデレラに玻璃の星冠をⅢ
「はあああ!!!? あの意味不明な草原…あれが緑!!!? いや…緑だから草原だし、何で草原に出たのか不思議だったけど。だけど、だけどよ!!」
「じゃあさ、紫堂櫂。あれもそう? ほら…"グリーンカード"とかいう、怪しいカード。最後不戦勝した時も、ニノが言ってたよな」
「櫂、あれもそうなのか? 確かに警告なのに黄色でも赤色でもなく、緑というのは奇妙だとは思ったけどよ!!!」
煌と翠が、俺に飛びかかるような勢いで、矢継ぎ早に聞いてくる。
そう。
五皇は、己が色を主張する。
緑は…あったのだ。
ヒントは…与えられていたんだ。
「それだけが理由か?」
愉快そうにクマが俺に言う。
クマも解答を知っているのだろう。
俺は頭を横に振り、そして聞いた。
「俺達の荷物は…あるか?」
緑皇の動きも必然というのなら。
あるはずだ、俺達の荷物が此処に。
「これやろか?」
手渡されたのは、煌が担いでいた…布袋。
やはり、用意されている。
蘇るのは、別れ際の遠坂の声。
――銀の袋にはエコバックも入っているからね。よし、この中に入れておくよ。必要と思われる貴重品と…。
俺は…その中から取りだした。
――久遠から預った紙の束。師匠と半分にしたものだよ。
その紙の山から、取り分け赤く…線を引かれていた紙があったことを思い出す。
やけに久遠の手が入っていたから、事前に…それだけは注視していたんだ。
白皇の手記。
この…№96と、久遠が数字を打ったこの紙。
96…黒。
黒皇に対しての記述と、久遠は皮肉ったのだろうか。
「これは――
この手記を書いた白皇が…他の4皇に警告を発している内容だ。
黒…黒皇を蔑ろにするなと。
その中で、こんな記述があった」
俺は…赤く下線が引かれたラテン語を読んでいく。