シンデレラに玻璃の星冠をⅢ
「この世界においては、全てが"変化"に満ちている。根幹が夢であろうとも…それを彩るのは、"変化"という色。変化をもたらしたのは…緑皇の力。
3つのゲームが顕著な例だろう。
狂わされた時間に基づき、定義(ルール)変化が頻繁に行われた。
草原から、突如…草が枯渇したような崖道になったのも、"生ある変化"の暗示だったのではと俺は思っている」
緋狭さんも氷皇も。
とる動きは必然なれど、その理由を明確に口にはしない。
この男もまた…然り。
これだけ自己主張が激しい世界に連れてきて、緑皇の"カラー"がないとは言えない。
初めから、誇示されていたんだ。
それに俺達が気づかないでいただけ。
例え誘導の契機が、緋狭さんや氷皇であったとしても、俺達は今、緑皇の手の中に居るんだ。他の色合いを弾いた世界に居る。
それは五皇としての矜持なのかは判らないけれど、
此処は緑が支配する世界。
「だけどよ…何で緋狭姉に扱き使われるよ。確かに緋狭姉は"最強"の称号はあるだろうけれど、立場的には同格なんだろ?」
「扱き使われているわけではないぞ、煌。緋狭さんは俺達を"委(ゆだ)ねた"だけだ。緋狭さんの性格を思うなら…
"裏世界に案内(ガイド)をしてくれるなら、途中経過は不問。煮るなり焼くなり好きにしろ。むしろもっといたぶって遊んでやれ。それでくたばるくらいなら、裏世界になど入る資格はない"
…そんなトコじゃないか?」
「はああああ!!?」
他人事のように声を上げて笑っている情報屋とクマ。
緋狭さんに"使われた"とは言わせない。
だから俺は――
「時に情報屋。お前が今食らっているグリーンカードは何枚だ?」
突然の問いに、情報屋は驚いた様子も見せず。
逆に俺の意図が判ったかのようににやりと笑った。
「4枚や」
煌と翠はきょとんとした顔で俺を見ている。