シンデレラに玻璃の星冠をⅢ


「最後のゲームの最後にニノは言っていた。ゲーム"主催者側"にグリーンカードが4枚だと。つまりこの情報屋が、このゲームを組み立てていたんだ。

情報屋は案内役に徹していたワケではない。案内だけと見せかけて、きちんと誘導していたんだ。自らが望むままに。まあ…"趣向"などは緋狭さんからアドバイスはあったにしろ」


情報屋の笑い方に、俺は推測に確証を得た。


「けどよ、櫂。2ヶ月前の明治神宮で、俺達は緑皇に会ったじゃないか」


「あの時、明治神宮にて元老院と共に相対した緑皇は影武者だろう。あの時、やはり白皇や黒皇も影武者を寄越していたんだ。

彼ら共々…俺達は本物を見ていたわけではない。

元よりあの時の俺達は、元老院が嬲る目的で集わされたんだ。そんな"虫ケラ"として召喚された俺達に、本物の五皇がわざわざ姿を現さないといけない理由はない」


そう言い切った俺に対し、煌はまだ釈然としていない様子だった。


眉間に皺をくっきりと刻んで、ちらちら情報屋を見つめると、今度は両手で頭を抱えてうんうん唸りだした。

そして情報屋を指さしながら、俺を見た。


「このアホが!!! このアホが…緋狭姉と同じ五皇!!!? どう考えても、偉大さが見られねえんだよ、俺は!!」


訴えるような涙目で。


「ワンワンはん、偉大さは「こんなアホでも五皇になれるのなら、俺だって"橙皇"とかでもなれそうじゃないか!!」

「ワンコ…そこはちゃんとオレンジを主張するんだ…?」


翠がぼやき、レイはいまだ…胡桃を囓り続けているようだ。

疲労度が強いのか、カリカリ囓っては休んでの繰り返しらしい。

レイは…緑皇の産物なんだろうか。


「櫂、この男はアホだぞ!!? 緋狭姉も氷皇も白皇も久涅も、こんなにアホじゃねえだろ!!!? 緋狭姉以外の肩なんて持つ気はさらさらねえが、同じ括りにしてしまったら緋狭姉に悪いぞ!!? 怨んで出て来るぞ!!? 緋狭姉が怨んで櫂にまとわりついたら、お前の未来真っ暗だぞ!!?」


「煌…緋狭さんは死んでは「それでもこのアホが緑皇だと言い切れるのか!!?」


緋狭さんは死んではいないのだけれど…。


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