シンデレラに玻璃の星冠をⅢ

言葉を遮られた俺は、新たなる煌の質問に頷こうとしたのだが、


「ワンワンはん…アホちゃう「やっぱ待て!!! 櫂…まだ結論を出すには早すぎる!!!」


そう…壁のように手の平を俺に突きつけながら、口を尖らせた情報屋の言葉をも遮り、俺にストップをかけた煌は、


「お前ちょっと休め? ずっと頭使い続けて、ショートしちまったんだ。考え過ぎじゃね? 俺にもよく判るんだ、その状態」


腕組みをしながら、厳しく顔を歪ませたままうんうんと頷いて、


「そういう時はな、脳に染み渡るような冷たい栄養ドリンクでも…」

「ほい、ワンワンはん。冷えたポカリならあるで」

「おう、気がきくなアホハット!!! …というわけだ、まず飲め?」


そして真剣な顔で俺にポカリを差し出した。


「………」


俺は…手渡された"それ"を見た。


心配してくれるのはありがたいと思う。


だけど――


「何固まってるんだよ。いいから、遠慮するな?」

「そうやで、櫂はん。まあぐびっと」


「あ、ああ…」


半ば…2人の迫力に飲まれるように、2リットルの…大きいペットボトルを受け取ったけれど。


何でここに、こんなに冷えたものがあるのか。

2リットルものポカリを、今どうしろというのか。


何より煌は――

情報屋に反発しているのか迎合しているのか…それすら不確かで。


とりあえず、愛想でキャップを捻り取って…1口飲もうとすれば、


ぐぅ~。


断じて――

俺ではない腹の虫。


「………」


翠がじっと俺を見ている。


「………」


きゅるるる~。


期待と羨望の眼差しを向けている。


そう言えば――

最後のテトリスが終えた時、空腹を訴えていた翠。


今まで我慢していたのだろう。


「……飲むか?」


思わずポカリを向けて聞けば、待っていましたとばかりに、ぱっと翠の顔が輝いて。


こくんと頷いた翠が、手を伸した時――


「ああ、お前!!!!」


橙色の髪から風を切る小さな者。


レイが、迅速に動いたんだ。
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