シンデレラに玻璃の星冠をⅢ
その見事な作りに僕は驚嘆しながら、マンションにかけていたあの結界程度では、氷皇レベルならば容易く打ち破ってしまえる程の脆弱(ぜいじゃく)なものだったことを感じ入る。
いつも気配無く忍んできた緋狭さんにとっても、それは同じだったんだろう。
僕は井の中の蛙。
たまたま仲間内で、僕の結界力が強かっただけのこと。
それで天狗になって絶対的な自信を持っていた僕は、そんな自分を恥じ…より強い結界の作り方を、身体で盗み取る。
そんな強大な結果力を、僕の電気の力は…全力をもっても破ることは出来ず、体育館を破壊することなんて夢のまた夢の話。
結界に吸収されてしまう、僕の力。
力の差をはっきりと見せつけられた。
確かに今、空間に流れる0と1の流れは少ないから、僕の力は全盛に比べて劣るだろうけれど…ここまで及ばないのは悔しい限り。
限られた0と1。
それを僕の中で増産することが出来れば、増産できた分だけ僕の力となる。
逆に0と1がなくなれば、僕の力は無に等しくなる。
僕が…0と1を作り出すことは出来ないのだろうか。
それが僕がまず自覚した、強さの課題となった。
過去何度か、僕の力が突然…爆発的に大きくなることがあった。
それは僕の青い色が、白く変わった瞬間だ。
最後に白い力を使用したのは、お台場における凱&雅との一戦。
芹霞を逃がす為に、散る覚悟をしたあの時。
あの時の状況と僕の精神状態を思い出しながら、朱貴の前でそれを再現してみれば、
――馬鹿か、お前は!! 命を燃やしてどうするんだ!!!
かなり無謀な荒技だったことを何度も怒られた。
――犠牲心で力を使うな。力は、利用するためだけにある。
――出来るという結果が既に前提で存在するなら、そこに至る違う方法を見つけろ!!
だけど思うようにいかなくて。
――お前が、今までで一番爽快な力の使い方をした時のことを思い浮かべろ。
朱貴がそう言ったから、僕は――
"約束の地(カナン)"において、櫂と煌と力を合わせて魔方陣を破壊した時のことを思いだした。
あの時、人工衛星の力は借りたけれど…心身共に気持ちが良かった。
櫂と煌と力を合わせれば、もっともっと…僕の力は伸びると思った。
何処までも僕は行けると。
力を通して、櫂と煌に触れられたことが嬉しかった。
僕は…1人じゃないと感じられた。