シンデレラに玻璃の星冠をⅢ
僕は変わりたい。
この恋が諦められないのなら。
この恋の為に多くを傷つけてきたのなら。
そして――
僕が犯した罪の時間を
巻き戻すことが出来ないというのなら。
僕自身が変わるしかない。
女々しい自分を、変えるしかない。
過程がどうであれ…
結果は変わらなかったと。
芹霞が僕を選ぶのは、運命だったんだと。
そう――
周りに認めさせる為には。
櫂は――
芹霞の中の…過去の記憶を犠牲にして、
『気高き獅子』の姿にて、芹霞を奪いに戻ってくる。
櫂が嫌悪してきた12年前の姿を完全に払拭し、
櫂が愛故に創り上げた姿にて――
12年の想いを武器に戻ってくる。
ある意味――
それは、櫂が昔から望んでいた形。
12年前の姿を芹霞の中から消し去ろうとし、"母親"ではなく"女"として、現在の自分を意識させたいが為の…
櫂が望んでいた…0からのスタート。
それが…櫂の出した答え。
櫂はどんな苦境でも、何度でも起き上がる。
僕のように女々しく現状に固執して動けなくなるのではなく、全てから"責任"という名で逃げようとせず。
諦めることで自分勝手に完結させて強制終了させようともせず…欲しいものの為に、堂々と自分を変えて向かってくる。
それは――僕の憧れ。
僕にはない強さだ。
そんな櫂が、全てを知った上で、こんな卑怯な僕をまだ必要としてくれるのなら。
まだ見捨てないでくれるというのなら。
僕は――
櫂に必要とされる強い男になりたいと思う。
守られるのではなく、
櫂を守る男になりたいと思う。
櫂から目をそらすことなく――
正々堂々と胸を張りたい。
僕は…そう思ったんだ。
これが――…
僕が出した答え。