シンデレラに玻璃の星冠をⅢ



僕は変わりたい。


この恋が諦められないのなら。

この恋の為に多くを傷つけてきたのなら。


そして――


僕が犯した罪の時間を

巻き戻すことが出来ないというのなら。


僕自身が変わるしかない。

女々しい自分を、変えるしかない。


過程がどうであれ…

結果は変わらなかったと。


芹霞が僕を選ぶのは、運命だったんだと。



そう――

周りに認めさせる為には。



櫂は――


芹霞の中の…過去の記憶を犠牲にして、

『気高き獅子』の姿にて、芹霞を奪いに戻ってくる。


櫂が嫌悪してきた12年前の姿を完全に払拭し、

櫂が愛故に創り上げた姿にて――


12年の想いを武器に戻ってくる。


ある意味――

それは、櫂が昔から望んでいた形。


12年前の姿を芹霞の中から消し去ろうとし、"母親"ではなく"女"として、現在の自分を意識させたいが為の…

櫂が望んでいた…0からのスタート。


それが…櫂の出した答え。


櫂はどんな苦境でも、何度でも起き上がる。


僕のように女々しく現状に固執して動けなくなるのではなく、全てから"責任"という名で逃げようとせず。

諦めることで自分勝手に完結させて強制終了させようともせず…欲しいものの為に、堂々と自分を変えて向かってくる。


それは――僕の憧れ。

僕にはない強さだ。


そんな櫂が、全てを知った上で、こんな卑怯な僕をまだ必要としてくれるのなら。

まだ見捨てないでくれるというのなら。


僕は――

櫂に必要とされる強い男になりたいと思う。


守られるのではなく、

櫂を守る男になりたいと思う。


櫂から目をそらすことなく――

正々堂々と胸を張りたい。


僕は…そう思ったんだ。


これが――…

僕が出した答え。
< 66 / 1,366 >

この作品をシェア

pagetop