シンデレラに玻璃の星冠をⅢ
僕は変わりたい。
僕は強くなりたい。
そうしなければ――
何も変わらない。
"約束の地(カナン)"が爆発しても、
僕は安全な場所に居た。
爆発させた犯人が目の前に居たのに、
僕は睨み付けることしかできなかった。
櫂だったら、こんな事態にはさせなかっただろう。
僕だから――
"約束の地(カナン)"は爆発してしまったのだろう。
悔しくて、口惜しくて…哀しくて堪らない。
全ては、僕が無力で愚かしいからだ。
本当は僕はあの時。
芹霞にフラれて――
惨めに恋を散らす気でいた。
櫂が苦しんだのなら。
それでも僕からまだ、芹霞の想いが消えていないのなら。
僕にとって最悪の方法で終わらせようと。
当主と久涅の前で――。
笑われるだろう。
馬鹿にされるだろう。
そしてそれを聞いている仲間にでさえ。
櫂をあそこまで傷つけて尚も自分の想いを優先する僕を軽蔑し、そして嘲笑するだろう…そう思ったんだ。
僕は惨めに散るから。
だからせめて最後くらいは…嘘をつきたくない。
僕は――…
"可哀相な"自分を見せることで、それを"自己犠牲"として少しでも"自己満足"しようとしていただけだけだね。
それで僕の恋が散ったら…何が変わる?
何も…変わらないんだ。
僕は散々人の心を掻き回して、自分勝手に消えるだけ。
更に…卑怯なことを僕はしようとしていたんだ。
こんなんじゃ駄目だ。
人として終わってる。
僕にしか出来ないこと、あるだろう?
しないといけないこと、あるだろう?
僕は――
これ以上、卑怯になりたくなかった。
それを気づかせてくれたのは、
櫂のメッセージだった。
櫂は僕に…信じさせてくれた。
僕に…"この先"があることを。
僕達は終焉していないことを。
櫂は…未来に繋げてくれたんだ。