シンデレラに玻璃の星冠をⅢ
僕は…
二度と、櫂の信用を裏切ってはいけない。
その為に必要なのは…強さ。
櫂が芹霞を僕に託したというのなら。
芹霞を守りきれる強さが必要だ。
そしてもしも――
僕が、櫂と共に走るに足る男になれたら。
今度こそ芹霞に――
嫉妬する程に激しく――
形振り構わず、僕を求めて貰いたい。
――玲くんが好きです。
判っている。
芹霞の"好き"は、櫂への"好き"程育っていないことは。
まだ戸惑うぐらいの、変化の入口に足をかけたくらいだということは。
恋に恋したような…まだそんな程度。
だけどね…。
嬉しかったんだよ、僕は。
――玲くんが好きです。
嘘をついて君を騙し続けてきた僕だけれど、
櫂の記憶を無くしても拒まれ続けてきた僕が、君を振り向かせたくて一生懸命になっていたことだけは真実だから。
それだけは本当だと、胸を張って言えることだから。
まだ勘違いの域かも知れない心でも、まだ櫂の影響が無意識に残っているかもしれない心でも。
それでもそれが僕への"恋"だとして、僕と始めようとしてくれたことが…本当に嬉しかったんだ。
僕の努力が少しでも報われたのなら…こんなに嬉しいことはない。
付き合ったら…これで終わりじゃない。
これは、僕達の始まり。
ようやく僕は…
櫂と同じスタートラインに立てたんだと思う。
櫂は…君を奪いたいが為に、強くなってくる。
だとしたら…。
僕は…君を奪われないように、強くなる。
君の意思で…僕を選んで貰いたいんだ。
――玲くんが好きです。
全て公開(オープン)になった選択肢の中でも、やっぱり僕がいいと。