シンデレラに玻璃の星冠をⅢ


そう母性が――…


「あの子が生きていれば…坊ちゃまくらいの歳ですし…ずごっ」


………。

今…何と!!?


「百合絵さん、子供が居たの!!!?」


一般論ではなく、実際母親してたことがあるの!!?


「はい。昔に事故で死んでしまいましたが。女の子でした…ずごっ」


………。


どこから驚けばいいのだろう。


百合絵さんに子供が居たということか…

父親となる相手が居たということか…

子供が死んでしまったということか。


頭を抱えて唸るあたしに、百合絵さんはぷちんぷちんとメイド服のボタンを外し始めたんだ。


今度は何!!?

何のドッキリ!!?


「ゆ、百合絵さん!! あたしはそんな趣味もなければ、別に百合絵さんの裸を見たいわけじゃ…」


正直、見たくないけれど。


「嬢ちゃまは、坊ちゃまの特別な人。ならば私にとっても特別です」


しかし百合絵さんが見せたのは、そのふくよかすぎるだろう裸体ではなく…首元からぶら下がっていた銀色のロケットペンダントで。

ソレを取出して見せるには、どうやらはちきれそうな服が窮屈過ぎたみたいだ。


更に取りだしたはいいものの、それを自分で見るた為には…首肉に埋もれた顔では下に向けることが出来ずに、まるで吸血鬼に十字架を掲げているような格好で高く掲げた理由は、あたしに近付いて見て貰いたいかららしい。


あたしはそのロケットを開き、中に飾られた小さい写真を見た。

百合絵さんのプライベートなシークレット写真。

その写真は古ぼけており、3cmほどの小さなものだった。

そこには小さい女の子と若い男性と女性が映っていて――


「!!!!?」


あたしは目を見開いた。


「私と旦那と子供です」


そして絶句。


あまりに――美男美女過ぎて。


嘘でしょう!!!?


百合絵さんの旦那様が美形だったという事実よりはむしろ、写真に映っている女性がほっそりしていて、モデルのように顔が整っていることに衝撃を受け過ぎたあたしは、思わず百合絵さんの顔と見比べて、呆然とした。

え、人間此処まで変われるものなの?


――…ああん!!


ありえないでしょう、普通は…。


――…ちゃあああん!!!


180度姿が変わるなんて、あるはずないよ。


ソコマデヒテイスルノハナゼ?

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