シンデレラに玻璃の星冠をⅢ
「"あいつ"の傷は、ようやく癒えた。
ああ、お前も先に会っていたか」
くつくつ、くつくつ。
「さあ――…
"あいつ"が表舞台に出れくれば、お前も今の立ち位置では周涅に阻まれるだけだろう。
そういえば…どうだ? あいつの久々の"私刑(リンチ)"は。抉られたか? 剥がされたか? 折られて裂かれたか? 昔に比べれば…生温くて物足りんかったろう、その姿を維持出来ている処を見れば」
くつくつ、くつくつ。
「全ては――
必然の"ルール"故に」
そして青い男は、ぴんと指先の小さい何かを弾いた。
彼は反射的にそれを宙で掴んで、うんざりしたような溜息をついた。
「――それが、条件だ。朱貴」
彼の…朱貴の手には、赤い蓮のバッチ。
「お前が……紅皇になれ」
それは――
五皇の証。
青い男の…氷皇の言葉は、
「元老院たる俺に従わぬ限り――
七瀬紫茉は…"使い捨て"られ、
戻った翠もまた…雄黄に殺される。
俺は、その時間を"狂わせて"やれる」
どこまでも威圧的で…
誘惑的だった。