シンデレラに玻璃の星冠をⅢ
ぐらぐらと地面が揺れる。
「地震か!!?」
やがて揺れは治まり、同時に…光が消えていることを知る。
変わって目に入る…別の緑色。
それは――
「植物!!!!?」
それはまるで熱帯ジャングルのように。
あたり一面、植物に覆われていた。
生い茂る…緑の息吹。
漲(みなぎ)る生命力。
「「すげえ…」」
生命の循環。
「緑皇の力は…大地の力か」
ふと漏らした俺の言葉に、情報屋は…肯定の代わりに小さく笑った。
「緑の結界を強制的に割り込ませて、裏世界への別通路を開いたんや。
これで…"雑魚"くらいは弾く。
頑張った皆はんに、ショートカットサービスや。
この緑が消えた先に拡がるのは…」
情報屋は俺達を見た。
「裏世界」
緊張感に震えるのは…武者震いだと思いたい。
クマと情報屋を先頭にして、俺達は歩く。
何処までも、植物に覆われた道を。
そして。
何れ来たるは…
――緑の終焉。
「着いたな」
急速度で枯れ果てる植物。
生気を失い…大地に還るかのように。
あたりは…突如闇に包まれた。
そして――
不気味な影と気配を感じたんだ。
これは――。
「……煌」
俺は、隣に居る煌に言う。
「ああ。すげえ瘴気」
煌の手には偃月刀が握られている。
「裏世界っていうのは、化け物の集まりなのか? 心の中っていうんなら、俺達心の中に、化け物飼っているのかよ?
だったら…そんな俺達の方が化け物じゃねえか」
褐色の瞳は、怯まない。
むしろ…好戦的に輝いている。
さすがは煌。
俺が安心出来る…頼もしい幼馴染。
闇の中の太陽だ。