シンデレラに玻璃の星冠をⅢ


"約束の地(カナン)"でも…この頭痛は起きた。

紫堂櫂のことが思い出せない時に…起っている。


拒否してるの、あたしの身体は。

だったら…やっぱり、関係があるということ!!?


紫堂櫂の訴えは本当で、12年もの幼馴染で…煌とも8年の幼馴染…?


玲くんから肩書きを奪った過去があろうとも、皆と仲が良いのは…、皆から慕われているのは…、幼馴染故に…?


判らない。

判らないよ。


その時、ふっ…と頭から痛みが引いていったんだ。


優しい優しい…温かな光。

白に近い…透き通るような青い光。


玲くんだ。

あたしの頭を両手で支えた玲くんが、発光している。


「今…回復しているからね。大丈夫だよ…?」

「玲くん…力、強くなったの…?」

「そう思って貰えるなら、光栄だね」


あたしには力はないけれど、あたしの身体の細胞が、玲くんの力に反応して従順になっているのが判るんだ。

今まで以上に…玲くんの力があたしに満ちてくる。

"あの子"の面影が、頭痛と共に消えて行く。


「凄い、凄いよ玲くん。たった1日で強くなっちゃえるの?」

「ふふふ、興奮しないで。落ち着いてね? 僕を受入れて?」


頬をするすると撫でる玲くんの手。

どこまでも美少女であるのに、その大きな手の感触は男のもので。


「それともまた…唇からの方がいい?」


妖艶な眼差しを食らって、あたしの顔は火を吹いた。


"また"


――デザートが欲しい。


先刻の、際どいトコロを"回復"しようとした、男の玲くん思い出してカッと身体が熱くなる。


「今は駄目だよ、意識するなら…別の機会にね」


そう嬉しそうに微笑む玲くんは、


「その時は遠慮しないで、僕を感じて? 君が"女"の顔を見せてトロトロに蕩けるまで、思う存分愛して上げるから」


甘い吐息と共に耳元で囁いて、妖艶に笑いを顔に浮かべた。


玲くん、何を仰(おっしゃ)る!!!


欲に満ちたその目には、あたしの熱が移ったと思う程に熱く見えた。

ゆらゆらと、炎のように揺れる鳶色の瞳の奥。

そこにあるのは一体何だろう。

触れたいけれど触れたくないような…。


玲くん余裕過ぎて、あたし泣けてくる。

この噎せ返るような色気、何とかして欲しい。

心臓がバクバクして苦しい、喉がひりついて溜まらない。


駄目、心臓発作かひっからびてか、とにかく死んでしまいそう。


ああ、鼻、鼻に…。


「鼻血に逃げたら、一緒にお風呂だよ?」


また先に釘を刺された。

逃げてる覚えはないけれど、お風呂なんて…刺激が強すぎること、無理。

無理ですから!!!
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