シンデレラに玻璃の星冠をⅢ
「駄目だ、師匠。"NO ACCESS"表記だ。このPCでこの表記…。なあ師匠…マンションのメインコンピュータは燃えて、そのデータを仮移動させた"約束の地(カナン)"の機械も潰えた。他に全自動バックアップ保存が出来る…ミラーリング、あったのか?」
「衛星。"約束の地(カナン)"で動かして貰った奴さ」
「へ!!? でも今はエネルギーがまだ溜まっていない状態じゃ…」
「そう。僕が使ってしまったからね。かねてより、あれだけの高精度のものならメインコンピュータに利用出来ないか考えていてね、実はそれはまだ試験的なもので、実用として動かしたことはないんだ。だけど背に腹しか得られないからね…紫茉ちゃんの家で、それを動かしてDL(ダウンロード)するプログラムを作ったんだ。
だけど…衛星を動かす電力が溜まっても、"NO ACCESS"ということは、事実上…そのパソコンへのDLが無理だと言っている。単純に、このPCの物理的な…キャパオーバーだろう。困ったな、これ以上の機械…何処で手に入れるか」
電気があっても、動かして参照する機械がない。
そんな時だった。
「玲くん。自警団の…データがある更正施設には、機械があるんじゃない?」
「!!!」
「そうだよ、師匠。どうせなら、利用してやろうよ。えらいぞ、神崎~。アンポンタンな頭がよくなってきたな~」
「役に立った? 本当? えへへへへ~」
「よし、じゃあとりあえずは方向性が見えてきたと言うことで、話を戻そう。黄幡祭、前夜祭…いや"サンドリオン"がいいな…ネット検索してくれる?」
「了解ッッ!!! 実は師匠が稽古している間、チャットや掲示板からも検索結果にひっぱってまとめるな、簡易検索プログラム作ってみたんだ~」
カタカタカタ…。
「……ん?」
由香ちゃんがキーボードを打つ手を止めて、目を細める。
「サンドリオン…騒いでいるのは、女子高生だね…」
由香ちゃんが作った検索画面では、答えてくれるのが眉毛の太いテディベア。
何でこのキャラクターにしたのか判らない。
「ティアラ姫にすればよかったのに…」
芹霞の呟きは、由香ちゃん…完全スルーしてる。
テディベアの名前は"権太"らしい。
このネーミングもどこからついたのかよく判らない。