シンデレラに玻璃の星冠をⅢ
"権太くん、一覧でまとめて教えて"と書かれたボタンを由香ちゃんが押すと、権太はくるくる周りながら、やがて一覧を表示した。
「"恋人募集"、"運命の人探してます"…これは出会い系から引っ張ってきたのかな。ああ、単語指定すると使用頻度の割合が出るんだ。82%…。"男性が不足しています。今なら無料で入会可能"…78%か。
ふふふ、普通の出会い系サイトとはまるで逆転だね。女性からお金取って、男性を無料化してまで、男性に入会させたいんだ。それだけ皆必死なんだな…」
「ねえ、サンドリオンは3日後、前夜祭は2日後だったよね。何でその日なんだろう」
芹霞が首を傾げた。
「確かにそうだよな、別に何があるっていう日でもないし…」
「よし由香ちゃん、まず2日後の月の状態調べて」
"権太くん、教えて"のボタンを押した由香ちゃんは、入力欄に…"明後日の東京の月の状態"を入れると、権太はまたくるくる回った。
東京都を巻き込んだ祭が、どうしても2ヶ月前の御子神祭を彷彿させる。
もしも少しでも関係があるのなら、月食なり日蝕なり…何らかの現象が起きているはずだと、僕は推測していた。
権太が両手にメモを抱えて答えた。
「普通だよ師匠、何もないみたい」
「何か、あるはずだよ。いつでもいいはずがないと思う」
「ん……」
カタカタカタカタ…。
「例えば何か惑星が近付いてくるとか…」
「ないなあ。書き込み調べても、惑星の話題より恋人募集で持ちきりだ」
カタカタカタカタ…。
「一応は…キーワード検索して、全投稿文検索してみるけど、ちょっと時間かかりそうだな」
"権太くん、詳しく教えて"ボタンを押すと、権太がハチマキをしめて画面を走り回った。
「ねえ…占星術(ホロスコープ)…は?」
その時、芹霞が言った。
「あれ…惑星とかが出てるものなんでしょう? 皆の誕生日で惑星配置とか判るなら、2日後の時間を誕生日にして、占星術(ホロスコープ)作ってみれば、その時の天体の配置が判るとか…なんて。………。なんて単純にはいかないか。ちょっと調子に乗って、変なこと言ってみました、あはははは!!」
「「妙案かも」」
僕と由香ちゃんはハモって、顔を見合わせた。
「ええええ!!? これも即採用!!!?」
芹霞が驚いて、同時に凄く喜んでいたけれど。
一番てっとり早い方法には間違いない。
これで出てこないのなら、占いサイトで情報集めても良いかもしれない。
同じ穴の狢(むじな)のはずだから。