シンデレラに玻璃の星冠をⅢ


「もう氷皇は関係ないから、手作業する必要はないな。自動作図機能があるサイトを利用しよう。さあ権太くん、調べてくれよ~」


カタカタカタ…。


「ねえ、由香ちゃん。何で権太くんなの?」

「ボクお気に入りのキャラさ。神崎知らない?」


首を振る芹霞を見ながら、由香ちゃんはティアラ姫が嫌いなのに、それよりもっと沢山の"可愛い"がある中で、何でこの権太を可愛いものの代表に選んだのか…僕は不思議で仕方が無かった。

可愛さの基準は何処なんだろう?

これが女子高生の感覚なんだろうか。


「いいぞ、権太~。このサイトを利用しよう。此処に誕生日の代わりに2日後の日にち、出生時刻は祭の開催時。出生地は…開催場所の東京でいいか。え? これで終わり? あの計算尽くめの苦労は何だったんだよ」

由香ちゃんは凄く嫌そうな顔をしながら、"作成する"ボタンを押した。


1秒もかからずして、画面に図形が出て来る。


「……!!!」


僕は占星術(ホロスコープ)の細やかな解し方までは判らないけれど、作図されたそれは、あきらかに"異常"過ぎたんだ。


画面の下には、赤文字での注意書き。


"Planetary Alignment"、即ち――


「「「全ての天体が1直線!!!?」」」


"惑星直列"と表記されている。


全ての惑星が、ずらりと一直線に並んだ配置。

しかし、平面上で惑星同士の角度で吉凶角度を占う占星術(ホロスコープ)において、奥行きと言うべき、円の中心点から惑星までの距離は判らないはずで。

横に並んだ表現方法になるのは、惑星は複数個固まっているが故の描写ではないかと僕は推測を立てた。

実際、画面の右隅には各惑星の位置が表示されていたから、それを見れば大きく2つの角度に集約されることが確認出来たんだ。

つまりこの一直線に並んだ表現は、それを判りやすく見せた為だけなのであって、実際は惑星が180度…直線の位置関係において、両端2点に固まっている。

僕の知識が正しければ、占星術(ホロスコープ)で強い意味合いを持つのは、惑星が重なることと、180度の角度になるものだったはずで…。

その2つの意味合いを持つこの配置こそ特殊だから、"惑星直列"という特別な名称がつけられているんだろう。

しかもサイトの用語辞典で調べれば、"Planetary Alignment"である惑星直列状態は、特殊な凶座相になるらしい。
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