シンデレラに玻璃の星冠をⅢ
「まだ数個の惑星だけの直列なら判るけれど…主要11惑星…太陽、月、金星、火星、水星、木星、金星、土星、海王星、天王星、冥王星の他…羅侯(ラゴウ)星(ドラゴンヘッド)、計都星(ドラゴンテイル)の2つの添え星まで、作図上…一列になろうとしているとはね…。これはもう…この日は"特別な日"としか言い様がないね」
僕は2人にそう言った。
「玲くん…この記号見て、何意味しているか判るんだ?」
「うん…? 一応一般知識的にはね」
「何でこんなものまで知ってるんだろ…」
君のお姉さんに教わった知識だけれどね。
それも…ケーキを食べながらの雑談だったはずだ。
緋狭さんの知識は幅広い。
五皇はそこまでの知識が必要なのだろうか。
五皇は誰に教示されたんだろう。
――正解。
氷皇も…紫茉ちゃんの作った占星術(ホロスコープ)を読んでいたようだった。
独学…なんだろうか。
「占星術(ホロスコープ)って、この天体をどう読み解くの?」
「角度だよ。天体と天体が作る角度が、吉角か凶角か。そして12等分された中にどの天体が入っているか。また12等分された宮…ハウスに振られた星座の性格を結びつけて、例えば…その人自身を表す太陽のマークは、どのハウスに表されているのか。ハウスもそれぞれ意味があるずだよ?」
「うげえ。紫茉ちゃん、よくそんなの覚えてるな~」
「七瀬は"北斗の巫女"だとか言ってたからね。力がなくても、星に関する知識は教えられたんだよ。周涅か朱貴に」
カリカリ…。
「あたし…教えられても無理だわ」
カリカリ…。
何だろうこの音…。
「こ~ら、クオン。バックを中からカリカリするんじゃ…ああ、ああああ!!!」
芹霞がバックのチャックを少し開けて、白ネコに言い聞かせた時、びょんとネコは飛び出てきた。
そしてぶるぶると体を震わせて、やがてくたりと俯せに倒れた。
「息苦しかったんだね、気づかなくてごめんね、クオン…」
「しかし何だか人間臭いニャンコだよね。また"ひらき"になって潰れちゃった。おい、クオン、大丈夫か、おおい?」
…………。
いいな…芹霞にあんなに優しくナデナデして貰えて。
気持ちよさそうだな…。
…………。
凄く"どや顔"で僕を見ているよね。
勝ち誇った顔が…何だか腹立たしいね。
…………。
「あ、百合絵さん!!!」
「フギャーッッ!!!」
クオンはまたカバンという"巣"に帰っていった。
僕は満足しながら…それでもあやすように、カバンに手を突っ込んで、クオンのお腹を指でまさぐって話を進める。
なんだかね…禁煙したばかりの人が口にモノを入れたくなる気持ちに似ていると思うんだ。
そう、触れたくて仕方が無い芹霞に触れられないから、気持ちいいふさふさで気を紛らわせたい…そんな気分。
欲求不満解消…とまでは言わないけどさ。