シンデレラに玻璃の星冠をⅢ
「話戻すけど、まずは主要惑星であるこれら13星は、前夜祭で特殊な配置をするということは判った。だとしたら、」
"来たるべき刻"が羅侯(ラゴウ)の復活とやらで、この特殊な作図結果がその前日のものであるというのなら。
"本番"の日時にはどうなっているのだろう。
「由香ちゃん、次の日に…"誕生日"を進めさせて、再度占星術(ホロスコープ)を作成してくれるかな」
頷いた由香ちゃんが、3日後の日時を入れたんだ。
だけど3日後は――
「「「え!!!?」」」
天体が…散っていたんだ。
蜘蛛の子を散らすように、ばらばらに。
天文学的にあり得るのだろうか。
前日まで直列だった惑星が、1日でばらばらに移動するなど。
常識的に考えて、あり得ない。
惑星の移動する速度は皆ばらばらだし、そこまで速いものではない。
「師匠…どういうことだろう…?」
「横一列の配置が"ありえない"前触れなのか、そんな配置が破壊されてしまうことが"ありえない"と考えるべきか。どちらに重きを置くかで、黄幡会の思惑が判るような気もするけれど…」
「とにかくは…普通じゃない日が来るんだね?」
由香ちゃんの言葉に、頷くことしか出来なくて。
「うわわ、クオン、何してるんだい!!! ボクのバックには、餌なんて入ってないよ。猫じゃらしもマタタビも入ってないってば。ボクの銀の袋…ああ!!! うわわわ、紙を撒き散らすな、ああ、ああああ!!!」
宙に舞う紙は…僕達の占星術(ホロスコープ)が書かれた紙のようで。
「遊ぶな!!!」
「やめろー、このニャンコ!!!」
それを派手に撒き散らしたクオンに、女の子2人はてんやわんや。
自由なネコは飛び跳ねながら、紙を猫パンチしてはまた巻き上げている。
楽しそうだ。
だから僕は――
「すごい、玲くん…早業!!!」
動体視力はよくなったのかな。
最短で掴み取ることを考えずに…体が反応するようになった。
まるで…猫の本能のようだよね。
「由香ちゃん、こんなになるのなら…これら、iPhoneのカメラで撮っておこうか」
「あ、それいいねえ…師匠!!」
そして由香ちゃんは写真を撮り始め、
「そうだ、氷皇から送られてきた添付とかと、場所を一緒にしておこう。フォルダが作れる無料アプリ…ダウンロード完了。よし!!!」
そう言って、画面を指で触れ、操作し始めた。