シンデレラに玻璃の星冠をⅢ
「ええと…五皇の占星術(ホロスコープ)も一緒に…あ、何すんだよ、クオン!!!」
「ニャア」
「ニャアじゃないだろ、ああ、邪魔するなって、何を…ちょっ…」
ぱし、ぱし。
クオンは手で、由香ちゃんの手を叩いているようだ。
「遊んでいるワケじゃないんだってば。ああ、変な処押しちゃったじゃ…―――え?」
突如由香ちゃんは、iPhoneの画面を覗き込むと、慌てたようにして…また画面に触れ、またもやじっくりと画面を覗き込んだんだ。
「どうしたの?」
「か、神崎…ボクの目がおかしいのかな。これと…これ、見てくれる?」
「ん……?」
そして芹霞も真剣な顔をして、iPhoneを覗き込み始めて。
「玲くん、玲くん!!!」
今度は僕が呼ばれた。
「ねえ、この占星術(ホロスコープ)と、この占星術(ホロスコープ)…どう思う?」
僕まで食い入るように、切り替わる2つの画面を覗き込んだ。
「同じだ…」
僕は思わず呟いた。
2人分の占星術(ホロスコープ)が、まるっきり同じだったんだ。
「ボク…間違って撮ったわけじゃないよ。ちゃんと…七瀬が作ってくれた占星術(ホロスコープ)はこれだし、氷皇から送られてきた占星術(ホロスコープ)はこれだし。皆も確かめてよ!!」
画面には――
メールの添付画像を展開した占星術(ホロスコープ)。
そして由香ちゃんから手渡された、手書きの紙の端に…誕生日が書かれている占星術(ホロスコープ)。
どこからどうみても、やはり内容は同じだったんだ。
即ち、惑星の位置配置が同じモノで。
「慣れた七瀬が間違えて作るはずないよね~。どういうこと!!?」
「手書きの方、この誕生日は…櫂のものだよね。で、櫂のと同じ…この画面の方は…」
由香ちゃんが八の字眉で答えた。
「黒皇……だ」
「え?」
黒皇…ということは…。
「久涅?」
芹霞の声に…沈黙が生まれた。