シンデレラに玻璃の星冠をⅢ
あたしだけしか居なかった孤独すぎた世界が…、気づけば様相を変えて、異質なモノの侵入を許容していた。
今――
目の前に、あたしに背を向けて立っているモノが居る。
警戒と恐怖と不安が、あたしの胸を張り裂くように大きくなり、後ろ姿とは言えど、長く直視出来なかった。
目の裏に焼き付いているのは、自警団の白い制服を着ていたこと。
だから…人間なんだろうか。
………。
人型である限り、話が通じるかも知れない。
先入観だけで、敵だと最期だと諦めるな。
逃げるチャンスを掴め!!
心を…強く持て!!
そう思い直したあたしは、震える唇を噛んで、息を整えた。
そして意を決し…目の前の人をよく見据え、震える声をかけた。
「……誰?」
髪の長さや服越しの体格からすれば…男だろう。
あたしの声に反応したのか、その頭が動き…髪が揺れた。
あたしはその髪の色に、思わず目を奪われてしまう。
その髪の色は――
黄色よりももっと輝く…高貴な色。
まるで…太陽のように煌めく黄金色。
男は…ぶらりと垂れ下げた右手に、何かを装着していた。
それは――…
「鉤爪(かぎづめ)……?」
銀に輝く、鋭い武器。