シンデレラに玻璃の星冠をⅢ
俺は怒鳴った。
「よく聞け、お前ら!!! 僻み妬み…んなものがお前らを"人でなし"にしてんだよ!! いいか!!? かつて俺は、櫂の家の奴らに体弄くられ暗殺者として生きてた。俺は櫂の大事な奴らの命を奪った。それでも櫂は憎悪向ける俺に頭を下げたばかりか、ずっと友だと8年も信頼してくれる…器のでかい、俺の敬愛すべき主なんだよ!!! お前らに真実を見抜く心があるのなら、櫂の言葉が真実か偽りか…判断つくだろう!!!」
「中々言うじゃないか駄犬。いいか、僕はリスだけど…櫂の従兄だ!!! リスだからって散々見下されて道具にされてきた僕だけど、櫂は僕を仲間として敬意を示して、此処まで連れてきてくれたんだ!!! 人間が何さ、動物が何さ!!! 心があればそんなの関係ないじゃないか!!!」
やべ…。
この阿呆タレに感動しちまった。
芹霞と胡桃命の動物本能に流され続ける、超マイペース&ぶっ飛びリスだけれど、それでもいつからか、こいつのこと…見捨てることが出来なくなっちまった。
最初はリスだと疎外していたのにさ。
「紫堂櫂は、敬愛すべき兄上を変えた悪人だとずっと思ってたよ、俺は。実際一方的に攻め込んだりしたけれど、ずっとずっと…俺を励まして強くなる為に色々なことを、教えてくれたんだ!! 紫堂櫂をそこらへんの奴らと一緒にすんな!!!」
小猿…。
お前も変ったよな。
最初は敵意丸出しで、皇城の肩書きを押し出して威張り腐っていたのに、いつの間にか…俺達の言葉を素直に聞くようになったし。
「人とは…言葉が通じぬものなのか? 通じぬのは"人外"の存在だからか? 我は式神、護法童子。それでも我は、櫂殿の心が誠だと判ったわ!!!」
金ピカゴボウ…。
お前…もっと違う姿で、堂々と登場して欲しかったよ。
小猿命のがっちがち頭だけれど、それでもこんな短期間で櫂を認めてくれて嬉しいや。
「ありがとう…」
呟く櫂の声が震えていたのは、聞いてないフリしといてやる。
「いいか、お前ら。櫂を敵だとみなして殺そうとするのなら、俺達が黙っちゃいねえぞ」
俺は…殺気を飛ばし、戦意を高めた。
見せてやるよ、俺の本気。
さあ、目覚めやがれ、俺の戦闘本能。
一斉に――
殺気と共に気配が動いた。
「これでも言葉が通じねえとはな。
いい度胸だッッッ!!!」
そして俺達も動いた…時だ。
「煌、引け!!!」
櫂の声と――
「止めよ、皆の者!!!」
女の声が同時にしたのは。