シンデレラに玻璃の星冠をⅢ
「お前、俺騙したのか!!?」
「がはははは!!!」
俺は騙されたらしい。
畜生、頭よくなりてえよ!!!
「何だ、俺…毛が生えるのかと驚嘆しちゃったじゃないか」
俺は、屈辱的にも…小猿と同レベル。
くそっ…。
「なあ店閉めて、アホハットは大丈夫か?」
「がはははは!!! マスターと取り決めた合図があるから大丈夫だ。今頃こちらに向かっているだろう」
アホハットは――
遠坂を紫堂まで送りに行ったんだ。
櫂が、遠坂を1人ぽんと離すことを躊躇(ためら)っていたら、
――ウチが送りますわ~。
買って出たのはあいつで。
――櫂はん。ウチが行くのが一番ええ。ウチ、紫堂に入り込めま。
ただの情報屋じゃねえアホハット。
知り合いらしい緋狭姉を追い詰めた張本人。
――煌。大丈夫。こいつを信用しろ。
櫂が言うから、抑えてはいるけれど…。
何者なんだ情報屋。
怪しすぎる格好と怪しすぎる喋り方で。
結局――
アホハット個人のことは、何1つ判らねえし。
訳ありで五皇並に強くて緋狭姉を呼び捨てに出来る朱貴と、かなりの知り合いということしか判らねえ。
緋狭姉の金翅鳥(ガルーダ)を操れる朱貴と、仇名で呼び合える間柄。
そんなのが紫堂にまでに入り込めるなど。
絶対、ただの情報屋ではねえんだ。
だけど、正体がまるで判らねえ。
実体が、輪郭が…まるでねえんだ。
尻尾を掴ませねえ。
胡散臭さ№2くらいの奴を、何で櫂が信じているのか判らねえけれど、櫂が疑い出せば、いつでも牙を剥く覚悟は出来ている。
俺は、櫂を守るんだ。