シンデレラに玻璃の星冠をⅢ


「あんた…本当に久涅じゃないのかい?」


俺達を恐れるように…震えて縋っているような素振り見せながら、牛女はこけしの頭の上に乳を置く。

多分それは無意識だろうし…身長的にも丁度いいんだろう。

それに対してこけしが何も言わねえのは慣れているんだろう。


しかし牛女の乱れきった着物姿。

緋狭姉もすげえ格好してたけど、こいつの姿は寝起きのようにぐちゃぐちゃだ。

黒い髪だって鳥の巣状態。


慌てて駆け付けてきたんだろうけれど、これはねえ。

緋狭姉でも"女っぽさ"はあったというのに。


そして顔。

目を凝らさねえとパーツがよく判らねえ。

やや細目気味のこけしの方が、まだ遠目でも顔の構成が判るくらいだ。


この女の特徴は乳だ、乳。

それにこいつの成分全て吸い取られてる。

しかし…何でか見たような奴なんだよな。

妙な既視感感じるのは…『ぱふぱふ学園』か?

その中に出てた"牛"のどれかと、似てるのか?

ん~あんな"形"の居たか?


「ああ、俺は、夢路…さんの言葉の通り、半分だけ久涅の弟…だ。不本意ながら、つい最近知ったばかりだがな。それまで俺はずっと知らされていなかった。夢路さん。お見受けする限りでは、俺の俺と久涅の関係をご存じのようだ。それは情報溢れる世界であるが故のことか? それとも…久涅自身が言い残したのか?」

単刀直入。

そんな緊張感漂う会話をしている横では、


「翠殿、あの大きく腫れた胸は病気か? それともあの中に三尸が入っているのか? 押すと違う何が出て来るのだろうか」

「し、知らないよ~」

「僕はあんなのより芹霞の方がいいね!! 柔らかくてすべすべしてる芹霞のに、そっと挟まれただけで僕…」


………。

俺の指の形は自然と"指弾き"に…


「ゴホンッッッ!!!」


…なる前に、櫂がチビを睨みながら咳払いした。


「何だよ。おいしいし…挟まれて"はむはむ"くらい、別にいいじゃないか」

「よくねえよ、しかも挟まれただけじゃなく、いつ芹霞の食ったよお前!!!」


俺でさえまだなのに。


とは、櫂の目が怖くて言い出せない俺は、


ピン。


やっぱり出ちまう指弾き。


「この前だよ!! 芹霞手作りの熱々マシュマロ…。僕より大きくて、ふんわりして、凄く熱くて…僕をそっと2つで挟んでくれたら、もう僕幸せで…はむはむしたら昇天しそうに…」

「お前は胡桃だけ食って昇天してろ!!」


ビン。

特大級だ!!!


「あうううっ」


俺以上に学習能力がねえ奴だ。

何でお前と芹霞に接点があるっていうよ。


………。

あ…そういえば、芹霞…玲とマシュマロ作っていたことあったな。


………。

玲…芹霞に変なことさせてねえよな!!


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