シンデレラに玻璃の星冠をⅢ


無謀だったのかな。

あたしなんかじゃ…切り抜けることは出来なかったのかな。


卑屈さのような後ろ向きの思いが膨らんで。


調子に乗りすぎていたんだ。

あたしにだって出来ると、あたしは過信し過ぎていたんだ。



"身の程知らず"



ダン、ダン、ダン、ダン、



無性に泣きたい心地になった。



「ごめん、クオン…よけれないッッッ!!!」


せめてクオンは…守らなきゃ!!!

あたしはじたばた騒ぐクオンを抱きしめた。


ダン、ダン、ダン、ダン、



ああ…頭の中に記憶が再生されている。


走馬燈のように流れる映像に映っているのは…。

あたしを呼ぶその声は…。


あたしが最期に――


会いたいその人は…。



「………っ」



その名前が口から出そうになった瞬間、



「ニャアアアアアン!!!」



脳裏を切り裂くような、クオンの叫び声がした。




「………?」


………。


「………????」



いつまでも痛みも衝撃もこない。

不思議になって顔を上げると、


「え?」



目の前で、銃弾が止まっていたんだ。

まるで見えない透明な硝子か何かがあるように。


目をパチパチしても、銃弾はそれ以上は近づいて来ない。

ぴたりと止まったままで。


銃弾の暖簾(のれん)見ているような気分。



そして気づく。

あたしとクオンが、青光に包まれていたことに。



この色は、この輝きは…。



「僕は…君を死なせない」



振り返れば――

スカートを靡かせた玲くんが後ろに立っていたんだ。


颯爽と。
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